Marko Lukic et al. "Coffee Drinking and the Risk of Endometrial Cancer: An Updated Meta-Analysis of Observational Studies"
研究の方法
コーヒー飲用量と子宮内膜ガンのリスクとの関係を調べた20の研究(2016年8月までに発表されたもの)のデータを分析しました。
20の研究のうちの12はコホート研究で、8つはケース・コントロール研究でした。 データに含まれる症例数は、コホート研究で合計1万1千件超、ケース・コントロール研究で合計 2,746件でした。
結果
コホート研究
コーヒー飲用量が最大のグループは最少のグループに比べて、子宮内膜ガンになるリスクが22%低下していました。 コーヒー飲用量が1杯/日増えるごとに子宮内膜ガンのリスクが3%低下するという計算になります。
肥満者に限る?
(BMI別に分析したデータを有する)5つのコホート研究のデータを分析すると、コーヒー飲用量と子宮内膜ガンになるリスクとの間に関係が見られたのは肥満者(BMIが30以上)に限られており、コーヒー飲用量が最大の場合に29%のリスク低下という結果でした。
ケース・コントロール研究
コーヒー飲用量が最大のグループは最少のグループに比べて、子宮内膜ガンになるリスク(オッズ比)が37%低下していました。 コーヒー飲用量が1杯/日増えるごとに子宮内膜ガンのリスクが12%低下するという計算になります。解説
コーヒーで子宮内膜ガンのリスクが低下するのだとすれば、その理由はコーヒーによってエストロゲン(女性ホルモン)が減るからかもしれません。 米国ガン協会によると、プロゲステロンとエストロゲンの比率においてエストロゲンの比率が高くなると子宮内膜ガンのリスクが増加します。
エストロゲン以外の子宮内膜ガンのリスク要因は、肥満・早発月経(12才より前)・遅発閉経などです。
コーヒーによる子宮内膜ガンのリスク低下の理由として他に考えられるのは、コーヒーに含まれている抗酸化物質です。 抗酸化物質には細胞の損傷を抑制する効果があると考えられています。
チョコレートなどのようにカフェインが含まれている食品であっても、コーヒー以外では子宮内膜ガンのリスク低下が見られなかったことから、コーヒーにおける子宮内膜ガンのリスク低下もカフェインによるものではなさそうです。