(2018年2月) "Human Reproduction" 誌に掲載されたハーバード大学などの研究で、果物(特に柑橘系の果物)をよく食べる女性は子宮内膜症になりにくいという結果になっていました。
研究の方法
米国に住む閉経前の女性7万人超の食生活を4年ごとにアンケート調査で調べつつ平均で12年間近くにわたり子宮内膜症の発生状況を追跡調査しました。
結果
追跡期間中に 2,609件の子宮内膜症が報告されました。
果物
果物の摂取量が多い女性では子宮内膜症になるリスクが低下していました。 リスク低下が顕著だったのは柑橘系の果物(オレンジやグレープフルーツなど)で、柑橘系果物の摂取量が1回/日以上のグループは摂取量が1回/週未満のグループに比べて、子宮内膜症のリスクが22%低下していました。
野菜
野菜の総摂取量と子宮内膜症になるリスクとの間には関係が見られませんでしたが、アブラナ科の野菜(ブロッコリーやキャベツなど)に限ると、摂取量が1回/日以上のグループは摂取量が1回/週未満のグループに比べて、子宮内膜症のリスクが13%増加していました。
栄養素
食品中に含まれる栄養素の摂取量と子宮内膜症になるリスクとの関係を分析したところ、βクリプトキサンチンについてのみ子宮内膜症になるリスクとの間に関係が認められました。
βクリプトキサンチンの摂取量に応じてデータを5つのグループに分けた中で摂取量が最大のグループは、摂取量が最低のグループに比べて子宮内膜症になるリスクが12%低下していました。 ただし統計学的な有意性は微妙(95% CI: 0.78-1.00)でした。
解説
柑橘系の果物の摂取量が多いと子宮内膜症のリスクが減るのは、柑橘類に豊富に含有されるβクリプトキサンチンのおかげかもしれません。 βクリプトキサンチンは、柑橘類の中でも「みかん類」に特に豊富に含まれています。 全食品の中でβクリプトキサンチンの含有量が最も多いのは「うんしゅうみかん」です。 「せとか」や「セミノール」といった品種にもβクリプトキサンチンがたっぷり含まれています。
アブラナ科の野菜の摂取量が多いと子宮内膜症のリスクが増えるというのは、研究チームにとっても意外な結果でした。 アブラナ科の野菜はスルフォラファンという成分を含有することで知られます。 スルフォラファンはガン・関節炎・肥満の予防などへの効果が期待されています。