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日常的な騒音でも心臓発作のリスクが増加

(2013年5月)"Environmental Health Perspectives" 誌に掲載されたドイツの研究で、日常的な軽微な騒音であっても心臓の機能に短期的な悪影響のあることが示唆されています。

研究の方法

この研究では、110人の成人を対象に日常的な騒音への暴露と心臓の動きの関係を調べました。 心臓のチェックには、ポータブル心臓モニターを用いました。

結果

通常の会話や笑い声の音量に相当する65デシベル以下の日常的な騒音であっても、周囲の騒音が増加すると心拍数が増加していました。

さらに、このような日常的な騒音は心拍変動(心拍ゆらぎ)にも悪影響を及ぼしていました。 心拍変動とは、周囲の状況への心臓の適応力の指標のことで、大きいほど良いとされています。

リラックスした状態にあるとき、心拍間隔は息を吸う時よりも息を吐く時のほうが長くなります。 一方、ストレス下にある人では心拍変動が損なわれます。 複数の研究で、心拍変動の低下と心臓発作のリスク増加との関係示されています。

心拍変動
心拍変動とは、息を吸っている期間の心拍数と、息を吐いている期間の心拍数の差のことのようです。 例えば、一分間あたりに換算した心拍数が、息を吸っている時に83回で、息を吐いている時に59回であれば、その差である24回が心拍変動の幅となります。

「心拍変動の低下」というのは、ストレスを受けたときには、心拍数が例えば、83回→80回と59回→63回になり、心拍変動の幅が17回に減少するということでしょう。(ソース

また、同じタイプの騒音でも音量の大きさよって健康への悪影響の生じ方が異なるようでした。 音量が比較的低い騒音では副交感神経系の活動が抑制されることで体に悪影響を与え、音量が比較的大きい騒音では交感神経系が活性化されることで体に悪影響を与えているようなのです。

副交感神経系は、心拍数を下げ、血管を拡張させてくれます。 一方、交感神経は、心拍数を増加させ、血管を収縮させるなどして体を「闘うか逃げるか」という非常事態モード(ストレス・ホルモンのコルチゾールが分泌されます)へと切り替えます。

今回の研究で未解決の大きな疑問は、騒音による健康への短期的な悪影響が繰り返されることで、すでに慢性的な疾患を抱えている人たちの健康に悪影響があるのかどうかという点です。

研究に参加していない第三者専門家のコメント

クルマや飛行機などの交通騒音が血圧と心臓に与える影響を専門としている研究者の話では、日常的な騒音が心臓に与える影響は軽微である可能性がありますが、現代人が日常的な騒音に四六時中さらされていることから(個人レベルではなく)社会全体のレベルで考えれば軽微な騒音の総和による影響は無視できないものになるかもしれないそうです。

複数の研究で職場での騒音と心臓病との関係は一貫して示されていますが、交通騒音などのように家庭で被る騒音については、結果がまちまちです。 この点について別の専門家は、個人の環境と地域の環境が一致しないからである可能性を指摘しています。

例えば、騒音がひどい地域であっても、防音性能の高い家に住んでいるなどです。 さらに、騒音に鈍感な人と、感受性が高いゆえに騒音に対してセンシティブで繊細な人がいるため、騒音がストレス経由で心臓に悪影響を与えるのであれば、個々の人の騒音耐性が重要なファクターとなります。