身体活動量が多過ぎても高血圧のリスク増加?

(2019年5月) "Medicine" 誌に掲載された中国の研究で、身体活動が不足している人だけでなく身体活動量が多過ぎる人も高血圧であることが多いという結果になりました。

予備知識

身体活動習慣は心臓病や脳卒中を含む生活習慣病の予防に有益ですが、最近では、身体活動をやり過ぎると健康に悪影響があるのではないかと懸念されるようになっています。

過度の身体活動によって心臓が肥大するという研究が存在するほか、マラソンのような過度の運動によって動脈スティフネスが増大してアテローム性動脈硬化が促進されることが複数の研究で示されています。 また、極度に過酷な運動を行う人に心房細動など治療が要求される不整脈が多いことも報告されています。

研究の方法

15~45才の男女 8,206人(男性50%)を対象に、身体活動の習慣に関するアンケート調査を実施したり血圧を測ったりしました。

結果

  1. データ全体では、高血圧前症(1)の有病率が45.7%および高血圧(2)の有病率が5.0%だった。

    (1) 降圧剤を使わない状態で収縮期血圧が120~139mmHgまたは拡張期血圧が80~89mmHg。

    (2) 収縮期血圧が140mmHg以上または拡張期血圧が90mmHg以上、あるいは血圧がどうであれ過去2週間以内に降圧剤を使用した。

  2. 中強度の運動(3)を週に700分を超えて行っている 1,913人では、高血圧前症の有病率が44.2%および高血圧の有病率が6.2%だった。
  3. 高強度の運動(4)を週に450分を超えて行っている 1,003人では、高血圧前症の有病率が47.8%および高血圧の有病率が8.2%だった。

    (3) ソフトボール・バスケのシュート練習・バレーボール・ピンポン・ゆったりとしたペースでのジョギング/水泳/自転車など激しくないスポーツ、散歩・徒歩旅行・徒歩での通勤通学、ボーリングやゴルフ、家庭での運動(ラジオ体操とか)、重労働ではない家の手入れや庭仕事(塗装・ホウキで掃除・芝刈りなど)

    (4) ジョギング、ランニング、ラケットを使う激しい運動(テニスとか)、バスケ・スケート・スキー・サッカーなどの激しい運動、自転車で10mph超の速度で走る、水泳、激しいダンス、ウェイト・リフティング、雪かき・穴掘り・重量物の運搬などの重労働、
  4. 中強度の運動の時間が420分~700分未満の場合に比べて中強度の運動時間が700分以上/週の場合には、高血圧であるリスクが68%高かった。
  5. 中強度の運動の時間が420分~700分未満の場合に比べて、運動時間が420分未満/週の場合には49%および運動習慣が無い場合には108%、高血圧であるリスクがそれぞれ高かった。
  6. 高強度の運動の時間が180分~450分未満の場合に比べて高強度の運動時間が450分以上~1000分未満/週の場合には、高血圧であるリスクが76%高かった。
  7. 高強度の運動の時間が180分~450分未満の場合に比べて高強度の運動時間が1000分以上/週の場合には、高血圧であるリスクが125%高かった。
この結果に基づき研究グループは「若年層では(過度の)身体活動を長期間にわたり続けると高血圧のリスクが増加する恐れがある」と述べています。