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完全母乳で育てると固形食に移行しやすい腸内細菌叢が形成される

(2015年2月) "Frontiers in Cellular and Infection Microbiology" 誌に掲載されたノース・カロライナ大学の研究によると、赤ちゃんを完全母乳で育てるかどうかが腸内細菌の構成・多様性・安定性に強く影響します。 そして腸内細菌の状態が赤ちゃんが固形食に移行する能力に影響し、それによって赤ちゃんの後々の健康まで左右される可能性があります。

研究者は次のように述べています:
「母乳のみで育てられた赤ちゃんの腸内細菌叢の方が固形食を受け入れる体勢が整っており、粉ミルクも与えられていた赤ちゃんの腸内細菌叢の方が固形食導入のインパクトが随分と大きくなっていました。 粉ミルクも与えられていた赤ちゃんでは、(離乳時に)腸内細菌叢が原因で腹痛やコリック(疝痛)になることが多いのではないかと思います」
別の研究者は次のように述べています:
「今回の結果は、生後半年は完全に母乳で育てるべきだとするWHO(世界保健機構)などによる推奨を裏付けるものです。 今回のデータから、乳児の食事に人工乳を用いることによって、母乳も与えていても腸内細菌叢に変化が生じることがわかります。 完全母乳で育てることによって、離乳がスムーズに行われると思われます」
研究の内容

この研究では、生後2週間から14ヶ月の赤ちゃん9人から入手した大便のサンプルと食事に関する情報を調査しました。 大便のサンプルに含まれる腸内細菌の種類と役割の分析にはゲノム・シークエンシング技術を用いました。

調査の結果、生後数ヶ月のうちに完全母乳で育てられるか母乳・粉ミルク併用で育てられるかによって、赤ちゃんの腸内細菌に明確な違いが生じていました。 この点については過去に行われた複数の研究でも同じ結果となっています。

今回の研究で目新しいのは、完全母乳か母乳&粉ミルクかの違いによって、固形食導入後の腸内細菌に劇的な変化が生じていたという点です。

変化の内容

固形食の導入後には、新しい種類の細菌が赤ちゃんの腸内細菌として加わり、固形食として新たに食べ始めた食品の消化を助けるようになります。

完全母乳で育てられた赤ちゃんでは、固形食の導入前と導入後で量に変化が生じていた腸内細菌酵素は20種類ほどでした。

これに対して母乳と粉ミルクの混合で育てられた赤ちゃんでは、固形食導入後に230種類の酵素で量に変化が生じていました。 これは、腸内細菌叢の変化が完全母乳の場合に比べて随分と激しかったことを示しています。

母乳と粉ミルクの混合で育てられた赤ちゃんに比べて、完全母乳で育てられた赤ちゃんの方が腸内細菌の種類が少ない傾向にありました。 また、完全母乳で育てられた赤ちゃんではビフィズス菌が腸内細菌叢において支配的であったのに対して、母乳と粉ミルクの混合で育てられた赤ちゃんではビフィズス菌の割合が低くなっていました。 ビフィズス菌は消化を助けてくれる善玉菌です。

腸内細菌の構成の違いによる短期的な(赤ちゃんの時点における)消化能力の違いが、長期的な健康(肥満・アレルギー・胃腸の疾患など)に影響する可能性も考えられます。

託児所の利用も腸内細菌に影響
この研究では、託児所に預けられる赤ちゃんと、ずっと自宅で過ごす赤ちゃんとの比較も行いました。 その結果、託児所に預けられる赤ちゃんの子供の方が腸内細菌が多様でした。 しかし、固形食導入時の腸内細菌の変化への影響が最も強いのはやはり、完全母乳で育てたか否かでした。