運動の内容によっては、運動によって IBD が悪化

(2013年7月) "Brain, Behavior, and Immunity" 誌に掲載されたイリノイ大学の研究によると、有酸素運動のやり方しだいで潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患(IBD)の炎症が改善することもあれば悪化することもあると思われます。

研究の方法
この研究ではマウス実験を行いました。 実験ではまず、マウスを次の3つのグループに分けました:
  1. 飼育ケージに運動用の回し車が備え付けられていないために運動ができないグループ
  2. ケージに備え付けられた回し車で自由に運動をできるようにしたグループ
  3. 週に数回、回し車で運動できるけれど、その際に中程度のペースを強要されたグループ(モーターでゆっくり動くようになっていて、マウスはモーターのペースに合わせざるを得ないという状況でしょうか)

そして3つのグループを潰瘍性大腸炎を誘発する化学物質に暴露させたのち、これらの環境で6週間飼育しました。

結果

その結果、1のグループに比べて、2のグループでは潰瘍性大腸炎の症状の数が減っていましたが3のグループでは症状が増えていました。

さらに、1のグループではマウスの結腸における炎症誘発性遺伝子の発現が有意に減少していた一方で、3のグループではこれが有意に増加していました。

解説

3のグループで抗細菌性シグナルタンパク質(antibacterial signaling protein)の発現も増加していたことから、運動時の精神的ストレスによって腸内の微生物環境が撹乱された可能性もあります。

腸内細菌は胃腸の健康にとって重要であり、これが撹乱されると、慢性的な炎症のほか、結腸潰瘍・直腸からの出血・下痢・腹痛・疲労感・イライラ・不機嫌などが起こりやすくなります。

今回の結果から、炎症のためには、精神的なストレスのかかる運動をするくらいなら、運動をしないほうがマシである可能性が示唆されます。

運動によって心臓発作などのリスクが減少するのに、肉体労働では逆にこのリスクが増加するという研究もありますが、この違いも精神的なストレスが原因ではないかと考えられています。