(2016年5月) "JAMA Internal Medicine" に掲載された米国立衛生研究所(NIH)の研究によると、様々な種類のガンの予防に運動習慣が有効かもしれません。 運動習慣がある人は13種類のガンになりにくいという結果だったのです。
研究の方法
1987~2004年にかけて欧米で運動習慣などを調べた12の前向き研究のデータを用いて、運動(余暇に行う身体活動)の習慣と26種類のガンのリスクとの関係を分析しました。 分析では、データ全体のうち運動量が最も少なかった10%の人たちと運動量が最も多かった10%の人たちとで26種類のガンの発症リスクを比較しました。
データに含まれていた人数は合計で140万人(年齢は中央値で59才、女性率57%)、11年(*)の間に発生したガンの件数は18万7千件ほどでした。
(*) 12のデータベースの中央値。
結果
運動量が最も少なかったグループに比べて運動量が最も多かったグループでは、26種類のうち次の13種類のガンのリスクが低くなっていました(カッコ内は低下幅):
- 食道腺ガン(42%)
- 肝臓ガン(27%)
- 肺ガン(26%)
- 腎臓ガン(23%)
- 胃噴門ガン(22%)
- 子宮内膜ガン(21%)
- 骨髄性白血病(20%)
- 骨髄腫(17%)
- 結腸ガン(16%)
- 頭頸部ガン(15%)
舌や顎、耳の下などにできるガン。
- 直腸ガン(13%)
結腸+直腸+盲腸=大腸
- 膀胱ガン(13%)
- 乳ガン(10%)
上記の13種類のガンのうち10種類では、BMIや喫煙歴などのリスク要因を考慮してもリスク低下における統計学上の有意性は消滅しませんでした。
例外的に、前立腺ガンとメラノーマ(皮膚ガンの一種)は運動量が多い場合にリスクが増えていました。 リスクの増加幅は、前立腺ガンが5%、メラノーマが27%というものでした。
メラノーマについては、日光に含まれる紫外線の量が多い地域で運動量増加に伴うリスク増加が顕著でした。
研究の弱点
研究チームによると、この研究には次のような弱点があります:
- 食生活や喫煙習慣などガンのリスクに影響する要因を完全には考慮しきれていない可能性がある。
- 運動量のデータが自己申告に基づくため、記憶違いなどにより不正確である可能性がある。