(2017年12月) これまでに複数の研究で認知症の予防に運動が有益であることが示されていますが、トゥールーズ大学などの研究グループが "The journals of gerontology. Series A" に発表した最新のシステマティック・レビューで、運動は認知症の予防に効果はないという結果になりました。
レビューの方法
運動習慣を12ヶ月以上続けた場合と運動をしない場合とで認知症や、軽度認知障害(MCI)、認知機能低下のリスクを比較した5つのランダム化比較試験(2016年11月から 2017年5月に発表されたもの)のデータを分析しました。 データに含まれる人数は合計 2、878 人でした。
(*) 観察研究よりも信頼性が高いとされる研究手法。 略して「RCT」。
結果
認知症などの発生率は次のようなものでした。
運動する場合 | 運動しない場合 | RCTの数 | |
認知症 | 3.7%(949人) | 6.1%(1,017人) | 3つ |
MCI | 10.2%(686人) | 9.1%(682人) | 1つ |
認知機能低下 | 14.5%(124人) | 15.4%(123人) | 2つ |
全部 | 11.4%(1,073人) | 12.5%(1,140人) | - |
認知症・MCI・認知機能低下のいずれについても、運動によるリスク低下は見られませんでした。
研究チームは「運動と認知症リスクとの関係について明確な結論を出すには、今後、長期的な試験をもっと行う必要がある」と述べています。