運動によって肥満体質が治る?

(2013年7月) "PLOS Genetics" 誌オンライン版に掲載されたランド大学(スェーデン)の研究によると、運動をすることによって脂肪体質を改善できると考えられます。

研究の方法

ちょっぴり肥満で日常的に運動をしていない健康な男性23人に6ヶ月にわたって運動をしてもらいました。 運動の内容はエアロバイクまたはエアロビクスで、運動の頻度は平均で週あたり1.8回でした。 また、食事などの生活習慣は以前のままでした。

研究グループは、23人が運動を開始してからの6ヶ月間のあいだ、脂肪細胞の遺伝子の内部に存在するメチル基と呼ばれる分子群の変化を調べました。
メチル基は遺伝子の発現に影響することが知られています。 遺伝子が発現するかどうかで、特定の遺伝子が活性化されるか不活化されるかが決定されます。

このようにDNAの変化を伴わない遺伝子の発現の変化を研究する分野のことを、後成学(epigenetics)といいます。 遺伝子は先天的に決定され生後に変化することはありませんが、遺伝子内のメチル基は運動・食事・生活習慣などの影響を受けて変化します。
結果

定期的に運動をするようになった被験者たちを調べたところ、全遺伝子の35%にあたる7千の遺伝子において後成学的な変化が生じていました。 そして、このような変化が生じていた遺伝子群の中に2型糖尿病や肥満に関わる遺伝子も含まれていたのです。

さらに研究グループは、試験管で培養した細胞において、特定の遺伝子を不活性化(発現量を減少)させて、脂肪細胞に蓄えられる脂肪の量を変化させることに成功しました。

解説

今回の発見により、運動によっても遺伝子を通して疾患(例えば肥満や2型糖尿病)のリスクを左右できる可能性が示唆されます。

脂肪細胞における後成学的な変化を調べた研究は今回のものが初めてです。 これまでの研究は、骨格筋の細胞や分子を調べたものばかりでした。