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有酸素運動によって海馬の血管形成が促進されて記憶力が向上する

(2014年10月) "Molecular Psychiatry" 誌に掲載された Karolinska Institutet(スェーデン)の研究によると、有酸素運動に中高齢者の海馬(記憶と学習に深く関与する脳の領域)の血流と容積を増やして、記憶力を向上させる効果があると考えられます。

過去にも若い人を対象に同様の研究が行われていますが、60才以上の人を対象とする研究は今回のものが初めてです。

研究の方法

60~77才の男女を2つのグループに分けて3ヶ月間にわたり、一方のグループにはトレッドミル(ルームランナー)で30分の有酸素運動を週に3回行ってもらい、もう一方のグループ(比較対照用)にはストレッチと筋肉リラックス運動をしてもらいました。

そして両方のグループで、エピソード記憶力(個人的な経験に関する記憶力)と、海馬の血流量および容積、心肺能力(最大酸素摂取量)を測定しました。

結果

有酸素運動をしたグループでは心肺能力が向上し、それに伴い記憶力、海馬の容積・血流量も増強されていました。

ただし、この結果は60~70才の人に限って見られたもので、70才超の人では同じ効果は見られませんでした。 したがって、脳の可塑性に対する有酸素運動の効果には年齢制限があると思われます。

まとめ
研究者の話をまとめると次の3点となります:
  • 有酸素運動で海馬の容積が増えたのは血流の増加によるもの。
  • (海馬の容積の増加は)おそらく、海馬の神経細胞の形成量が増えたためではなく、血管の可塑性(新しい血管を拡充・形成する能力)が増大したため。
  • 記憶力が改善されたのは恐らく、海馬自体のサイズ(海馬の神経細胞の量)が増えたためではなく、海馬への血流と酸素供給量が増加したため。
つまり、有酸素運動によって海馬への血流が増加し、それによって海馬における血管形成が促進され、それによって海馬に供給される酸素の量が増えるために記憶力が向上するということでしょうか。