運動によりストレスへの耐性を得られる理由

(2015年2月) "Neuropharmacology" 誌に掲載されたジョージア大学(米国)の研究で、運動により長期的なストレスへの耐性を得られるメカニズムの解明が進みました。

ニューロンがガラニンと呼ばれる神経ペプチド(脳で作られ、神経伝達物質やホルモンとして働く)によってストレスによる変質から保護されることがネズミの実験において示されたのです。

実験①

この研究ではまず、ネズミを次の3つのグループに分けました:

  1. 運動をさせるグループ(21日間)
  2. ガラニンを投与するグループ
  3. 何もしないグループ

そして、各グループのマウスの足に軽い電気ショックでストレスを与えた後に、迷路を通らせることによって不安感様の行動を測定しました。

その結果、1と2のグループは迷路の探索に意欲的でした。 これは、ストレス耐性の表れです。 その一方で、3のグループはストレスによる不安感のために迷路を探索したがりませんでした。

実験②

次に、ガラニンや運動によってストレス耐性が得られるのは、前頭前野皮質におけるニューロンの可塑性が維持されるためではないかという仮説に基づき、ネズミのニューロンに存在する樹状突起棘(樹状突起から小さく突き出た棘の部分)の数を数えました。

その結果、3のグループに比べて、1および2のグループでは前頭前野皮質の樹状突起棘が減少していませんでした。

前頭前野皮質は、脳の領域のうち計画立案・意思決定・感情の抑制・ストレス耐性などに深く関与する部分です。 鬱の人では前頭前野皮質が萎縮していることが知られています。

実験③

さらに、ガラニンの作用を阻止するクスリを1のグループに投与してみたところ、1のグループは運動をしていたにも関わらず、迷路の探索において3のグループと同様の振る舞いを示しました。

結論
これらの実験の結果から、運動によりストレス耐性が得られること、そして運動がもたらすストレス耐性が、ガラニンによって前頭前野皮質におけるシナプスの可塑性が維持されるお陰であることが示唆される。