普通レベルの顔であっても比較的魅力的な顔のほうが見られる時間が長い

(2016年10月) "i-Perception" 誌に掲載されたウィーン大学の研究によると、特別に美人あるいは美男子というわけでない十人並みの美しさの顔であっても、比較的魅力的な顔のほうが頻繁にチラチラと見られたり、見るのに費やされる時間が長くなります。出典: How Beauty Determines Gaze! Facial Attractiveness and Gaze Duration in Images of Real World Scenes
今回の研究では、これまでに行われた類似研究よりも日常的な状況を演出して、顔の魅力度と顔を見る時間の関係をリアルに調べました。
研究の方法
裸眼またはメガネをかけた状態で視力が正常な45人の大学生(*)に、2人のモデルが正面を向いた状態で並んで写っている写真60枚を見せて、計器を用いて視線の動きを測定しました。
被験者

被験者(顔の魅力を評価する人)となった45人の大学生は女性23人、男性22人で、平均年齢は25才でした。 いずれも、大学の単位と引き換えに被験者になりました。

写真のモデル

写真のモデルは合計で120人。 モデルの年齢は20~30才で、半分が女性でした。 路上で声をかけたり、オンラインで募集したりしてモデルになってもらいました。 モデルには全員に黒っぽい服を服を着てもらい、装飾品を身に着けたり厚化粧をしたりするのも控えてもらいました。

60枚の写真の内訳は、男性が2人で写っている写真が20枚、女性2人が20枚、女性と男性1人ずつが20枚というものでした。
魅力度の評価

モデルの顔の魅力度は、被験者自身が7段階(非常に魅力的~非常に非魅力的)で評価しました。

結果
被験者たちは、自分が魅力的であると評価した顔を頻繁に、そして長時間にわたり見ていました。 また、写真に写る2人の顔の魅力の差が大きいほど、顔を見る時間の配分に差が出ていました。

ただし、魅力的な顔を長時間見るのではなく、長時間見た顔の魅力度を高く評価しているという可能性もあります。

"gaze cascade effect" と呼ばれる説によると、『魅力的な顔だと感じる → 眺める時間が増える → 見れば見るほど魅力的に思えてくる → お顔を鑑賞する時間がさらに増える...』 というスパイラルが存在します。
性別の影響

男性の被験者も女性の被験者も、同じように魅力的な顔であれば同性よりも異性のモデルの顔を見る時間が長くなっていました。 モデルの顔の魅力が鑑賞時間に及ぼす影響は、モデルの性別に関わらず女性の被験者のほうが顕著でした(女性のほうが同性および異性の顔の美しさに敏感)。

顔の魅力度と顔を見る時間の関係が最も弱かったのは、男性被験者が男性モデルの顔を眺めたときでした。
クリックでグラフ拡大。 グラフ左の「TFD」というのは、顔を見ている時間。 「Attractiveness」が顔の魅力度。 赤色が女で、青色が男。
独り者
付き合っている異性がいる被験者よりも独り者の被験者のほうが、モデルの顔の魅力度と顔を見る時間の関係が強固でした。 また、男女を問わず独り者は、モデルの顔の魅力度を低く評価する傾向にありました。
独り者は魅力的な顔を熱心に見る傾向にあったというわけです。 過去の研究でも、付き合っている異性がいると他人の顔の美しさへの反応が鈍ることが示されています。