人体が利用できない「偽の」ビタミンB12に注意

(2013年7月) ビタミンB12 は主に肉類(卵や牛乳を含む)に含まれます。 植物系の食品にもビタミンB12 を含むものがありますが、鳥取大学大学院連合農学研究科などが行った研究によると、植物系食品に含まれるビタミンB12 には人体が利用できないタイプのものが少なくありません。 したがって、菜食主義者や完全菜食主義者は、ビタミンB12 欠乏症になるリスクが非常に高くなります。

さらに今回の研究によると、特定の胃腸障害のある高齢者では、通常の(肉類に含まれる)ビタミンB12 さえも吸収できないために、(肉を食べていても)ビタミンB12 欠乏症になるリスクが増加します。

ビタミンB12 は赤血球の形成に必要とされるビタミンで、欠乏すると悪性貧血(高齢者の慢性の進行性貧血)や、神経障害、脳の萎縮(認知能力が衰える)、鬱症状などの原因になります。

偽のビタミンB12を含む食品

スピルリナ(Aphanizomenon flos-aquae、Aphanothece sacrum、Nostoc commune、Nostoc flagelliforme、Nostochopsis sp. などの藍藻類)のサプリメントには大量のビタミンB12 が含まれていますが、このようなサプリメントに含まれるビタミンB12 のうち83%が、人体が利用できないアデニニルコバミドという偽ビタミンB12(鳥取大の研究者が発見した)です。

また、貝類にはビタミンB12が豊富に含まれていますが、一部の貝類(アワビ、 赤貝、 シジミ、まつぶ貝など)では、含まれているビタミンB12 の大部分が、偽ビタミンB12です。

菜食主義者のためのビタミンB12 食品

植物系の食品では、テンペという大豆発酵食品に 0.7~8 μg/100 g のビタミン B12 が含まれています。 同じ発酵大豆食品でも、納豆やコチュジャンに含まれるビタミンB12 は 0.1~1.9 μg/100 g と少量です。

青海苔(Enteromorpha sp.)とアサクサノリ(Porphyra sp.)にも、人体が活用できる(偽ビタミンB12でない)ビタミンB12 が多く含まれています。 アサクサノリの方はマウスの実験で生体活性が確認され、青海苔の方も菜食主義者の子供6人にこれを食べさせてビタミンB12 不足にならないことが確認されています。

キノコには総じてビタミンB12 が含まれていませんが、クロラッパタケ(Craterellus cornucopioides)とアンズタケには含まれています。 でも、市販されてないので、これらをビタミンB12 の供給源とするのは現実的ではありませんね。

野菜を栽培する際の肥料への工夫や、水耕栽培により、野菜のビタミンB12 含有量を増やそうとする技術も研究されていますが。 肥料に関しては、野菜が養分を吸収する前の肥料(動物の糞)の時点ですでに、含まれているビタミンB12 の大半が偽ビタミンB12 でしたが、水耕栽培では、研究グループが、貝割れ大根とレタスの栽培にビタミンB12を高濃度に含む水を用いることで、ビタミンB12 を豊富に含む野菜の栽培に成功しました。

高齢者のためのビタミンB12 食品

また、胃酸の分泌が低下する萎縮性胃炎のある人(高齢者に多い)は、ビタミンB12 を摂取しても吸収できませんが、こういう人でも(偽ビタミンB12ではない本物のビタミンB12のなかでも)タンパク質と結合していないビタミンB12(free B12)であれば吸収できます。

タンパク質と結合していないビタミンB12は、煮干やカツオ節に多く含まれています。 特に、カツオ節(のことだと思う。 「生のカツオの筋肉から作られたエキス」)には、40.9 ± 5.5 μg/100 g も含まれています。 (ダシの素から取れた)液状のダシでは、ビタミンB12 の量は 5.0 μg/L 未満になります。 市販の顆粒状やパウダー状で売られているダシには、ビタミンB12 はあまり含まれていません(0.8 μg/L 程度)。

さらに、アサリにも、本物のビタミンB12 であるうえに、タンパク質と結合していないフリーのビタミンB12 がたっぷり含まれています(131.8 μg/100 g)。 市販のアサリの水煮でも、ビタミンB12 が 2.7~14.1 μg/100g(1缶当たり 1.3~6.7 μg)は含まれています。

ビタミンB12 は熱に弱いので、食品を保存および調理する際に注意が必要です。