エセ断食で免疫細胞には栄養を供給しつつ、ガン細胞だけを飢えさせる

(2016年8月) "Cancer Cell" 誌に先月掲載された南カリフォルニア大学の研究(マウス実験)で、断食と同様の効果があるFMD(fasting mimicking diet)と呼ばれる食事をガンの化学療法と併用することで乳ガンの腫瘍のサイズが1/4に縮小するという結果になりました。出典: HEALTHY AGEING: Fasting tool against cancer

南カリフォルニア大学のプレスリリースによると、化学療法に用いられた抗がん剤はシクロホスファミドとドキソルビシンで、FMDの投与期間は4日間です。 「腫瘍の成長が鈍化する一方で、正常な細胞は保護された」とあります。 また、メラノーマでも乳ガンと同じような結果となりました。

FMDの作用
研究チームによると、FMDの効果には次の2つの理由があります:
  • 化学療法とFMDを併用したグループでは、腫瘍浸潤リンパ球(TILs)(*)の数がコントロール・グループ(†)の3.4倍に増加していた。 化学療法だけのグループでは1.7倍の増加、FMDだけのグループでは1.8倍の増加だった。
  • 腫瘍をTILsから保護する酵素の影響がFMDにより弱められていた。

(*) Wikipedia によると血流中から腫瘍の内部へと移動した白血球のこと(たぶん白血球の集団)で、T細胞・B細胞・NK細胞・マクロファージを様々な比率で含有しています(もっとも多く含まれているのはT細胞)。 TILsは腫瘍細胞を殺すのに関わっていて、TILsが存在すると予後が良好であることが少なくありません。

(†) 一切の介入をせず普段どおりに飼育されるマウス。 治療の効果を把握するために用意された比較対照用のグループ。

研究者によると、FMDと化学療法の組み合わせは乳ガンやメラノーマ以外のガンにも有効である可能性が高いそうです。

FMDとは

断食にはガン細胞の成長に必要な栄養を奪う効果がありますが、同時に患者の体にも負担をかけてしまいます。 断食の悪影響が特に大きいのが前出のTILsです。 断食によりTILsが被るダメージは一時的なもので、ダメージを受けたTILsはやがて一層強力になって復活しますが、その一時的なTILsの弱体化も問題となり得ます。

この問題に対処するために開発されたのがFMDです。 FMDはガン細胞への栄養の供給を絶ちつつも、TILsには栄養を供給します。

FMDの製品

FMDはProLonとして製品化されていますが、日本ではまだ売られていないようです。

FMDを自作?

FMDの成分の詳細は公表されていませんが、2015年のワシントン・ポストの記事によると、一ヶ月間(30日)のうち25日間は普通の食生活を続け、残りの5日間にFMDを食べます。

この5日間の1日目には 1,090キロカロリーを摂り、残りの4日間は725キロカロリーを摂ります。 食事の成分は、1日目がタンパク質10%・脂肪56%・炭水化物34%となるようにし、2~5日目はタンパク質9%・脂肪44%・炭水化物47%となるようにします。

当記事の出典となったプレスリリースによると、FMD(マウス用)は低脂肪および低糖分で、ビタミンDと亜鉛、それにTILの活動に必要とされる脂肪酸を豊富に含みます。

アボカド2個/日でOK??
また、The Quantified Body というサイトでは、FMDの開発者である Valter Longo 博士の論文や特許に基づいてFMDの成分を推測し、毎日アボカドを朝と晩に1個ずつ(小ぶりのものは3個/日)と野菜パウダー(野菜を乾燥させて作るサプリメント)を朝と晩に小さじ2杯ずつ摂れば、FMDを摂るのとほぼ同じことになるのではないかと結論づけています。
アボカドにビタミンDは含まれていないので、アボカド2個と野菜パウダーだけというのではFMDと同じにはならないと思います。
素人の考えたFMDメニュー
Quora というサイト(英文)にもFMDのメニューの例(素人が考えたものですが)があります。