断食によって幹細胞が活性化し、老朽化した免疫系が再生する

(2014年6月) "Cell Stem Cell" 誌に掲載された南カリフォルニア大学の研究によると、断食によって幹細胞が休眠モードから自己再生モードに切り替わり、免疫系が回復します。 6ヶ月のうちに2~4日間ほどの断食を繰り返す(頻度は不明)ことによって、古くなって傷んでいる免疫細胞が破壊されて、新しい免疫細胞が作り出されるというのです。

今回の発見は、自己免疫疾患(リウマチ・1型糖尿病・セリアック病など)や、ガンの化学治療の副作用、老化による免疫不全などを治療する方法の開発につながる可能性があります。

研究者は次のように述べています:
「飢餓状態になると、体はエネルギーを節約しようとして、使われていない免疫細胞の中でも傷んでいそうなものから優先的に大量にリサイクルに回します」
断食は免疫系再生のスイッチ

マウス実験では、断食期間中に造血幹細胞(血液と免疫系の再生を行う)のシグナル伝達経路が変化することが確認されました。 これはつまり「免疫系再生のスイッチが入った」ということです。

白血球の枯渇
断食期間中に体は、ブドウ糖・脂肪・ケトンの蓄えを消費することを余儀なくされますが、このとき白血球も同時に相当な量が分解されます。
「ヒトでもマウスでも長期間の断食によって白血球の数が減少し、その後、栄養補給を再開したときに戻っていました」

白血球の枯渇によって、幹細胞ベースの免疫細胞再生の引き金となる変化が生じます。 特に注目すべきは、断食によってPKAという酵素が減少する点です。

PKAと寿命

過去に下等生物(回虫かショウジョウバエでしょう)を用いて行われた実験でPKAの減少に寿命を延ばす効果のあることが示されています。 そしてそれとはまた別の研究で、この効果が幹細胞の自己再生および多分化能(様々な種類の細胞へと変化するという幹細胞の能力)によるものであることが示されています。

「幹細胞が再生モードに移行するには、PKAを遮断することが重要です。 そうすることによって、幹細胞が増殖して免疫系全体の再構築が開始されます」

「都合の良いことに、断食では免疫系のうち効率の悪い部分、すなわち傷んでいたり古くなっていてたりする可能性のある部分が処分されます。 化学療法や加齢などによってひどく痛めつけられた免疫系も、断食を繰り返せば文字通り新しい免疫系に生まれ変わることが出来ます」
IGF-1の減少
さらに、IGF-1の量も断食によって減少していました。 IGF-1は成長因子(ホルモン)の一種で、加齢・腫瘍の進行・ガンのリスクに関与しています。
抗がん剤の副作用を軽減

同研究グループが行った小規模な予備的臨床試験では、化学療法の前に72時間の断食を行うことで、抗がん剤が免疫系に与えるダメージを緩和できるという結果が出ています。

注意事項
研究者は「断食は医師の監督の下で行うように」と注意しています。