メタボの予防に「健康的な炎症」が有効?

(2014年6月) これまでに慢性的な炎症と肥満や代謝病(メタボ病)との関係が指摘されていますが、"Cell Metabolism" 誌に掲載された UT Southwestern Medical Center の研究によると、一定の「健康的な炎症」が脂肪肝などの代謝病の予防に必要であると考えられます。

研究者は次のように述べています:

「『健康的な炎症』とは、組織の成長に寄与し、組織および全身の健康にとっても全般的に有益である炎症を指します。

例えば筋肉の場合でも同じことが言えます。 運動によって(筋肉の)組織に炎症が生じますが、それにと同時に筋肉は強く、健康になります」


この研究では、マウスの脂肪組織の炎症を抑制するという実験を行いました。 その結果、脂肪組織の増加(fat expansion)が減少し、高脂肪のエサを与えているにも関わらずマウスは太りませんでした。 ところが、太っていないにも関わらず、マウスが代謝病の症状(耐糖能障害など)を呈したのです。

このような結果になったのは、脂肪組織が、成長するときに過剰な脂肪を吸収することによって、脂肪が他の組織に沈着するのを防ぐ(ことによって代謝病を抑制している)ためではないかと考えられます。 事実、炎症を抑制したマウスでは、脂肪肝と腸管壁浸漏(leaky gut)の兆候が見られました。
脂肪肝は、肝臓細胞に脂肪が蓄積することによって起こります。 腸管壁浸漏では、腸壁が機能不全を起こして、普通なら通過させないはずの細菌や毒素、十分に消化されていない大きな食物分子を通過させてしまいます。

「脂肪組織を再構築し脂肪肝などの代謝病を防ぐうえで局所的な炎症が必要であることがわかりました。

糖尿病の治療に抗炎症薬(*)を用いても効果が出ない理由の一部が今回の結果で説明できるかもしれません。 しかしながら、脂肪組織において局所的に低レベルの炎症を生じさせるという治療法が有効性については今後確認していく必要があります」