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大便から作られた薬が C. difficile 感染症に効果

(2013年10月) カナダのカルガリー大学の医師がヒトの大便から作ったカプセル剤を用いて、Clostridium difficile(C. difficile)という細菌による感染症の患者27人全員を治療することに成功しました。
C. difficile 感染症
C. difficile は抗生物質の使用などによって腸内細菌のバランスが崩れたときなどに過剰に増殖し、吐き気・腹痛・下痢などの症状を引き起こします。 生命の危険があるほどの炎症が大腸に生じることもあります。
カプセル剤の作り方

このカプセル剤は既製の薬ではなく患者ごとに作られます。 患者の家族などの大便から腸内細菌だけを遠心分離機を用いて抽出し、抽出した細菌を水で薄めてカプセルに注入します。 150~200gの大便からティースプーンに2~3杯の泥状になった細菌が取れます。 カプセルは大事な腸内細菌が胃酸で溶けずに無事に腸に届くようにゼラチンで3層にコーティングされており、溶けるまでに60~90分かかります。

研究者は次のように述べています:

「カプセルには、大便の成分は残っていないので、大便を飲み込むわけではありません。 大便に含まれている細菌だけです」

「大便の成分が残っていないので、臭いも残っていません。 さらに、錠剤の中身が放出されるのは胃を通り過ぎて腸に入ってからなので、錠剤を飲んだ後でゲップをしても臭いの問題は生じません」
強力な抗生物質も効かない C. difficile 感染症の患者には糞便移植によって他人の腸内細菌の力を借りるという治療法が実用化されています。 大便から作られた薬と言われると驚きますが、他人の糞便を体内に注入するよりはマシだということでしょう。
カプセル剤の服用

治療では24~34カプセル(体重により異なる)を一回で飲みます。(紹介されていた例では、35カプセルを飲んだ後、期間を空けて20カプセル) カプセルは結腸で溶けて普通の人の腸内に生息するのと同じ細菌群を放出します。

カプセルを投与する数日前に患者に抗生物質を投与して C. difficile を弱らせておき、カプセルを投与する日の朝に浣腸によって腸内をまっさらな状態にしておきます。 そこに患者の家族の腸内に住んでいた細菌群を解き放って定着させます。

治療結果の詳細

27人の患者はいずれも、C. difficile のしつこい再発(4回以上)に悩まされている人たちでしたが、カプセルを服用してから C. difficile は再発していません。 数日で効果が出たというケースもあります。

C. difficile が再発した患者が1人いましたが、カプセルを飲んだ後に抗生物質を服用していました。

カプセル剤の副作用(嘔吐や腹痛など)は見られませんでした。

2年前にこのカプセル剤による治療を受けた69才の女性は次のように語っています:
「C. difficile の再発には2年間も悩まされました。 死ぬかと思いました。 食事も出来ないんです。 何かを食べたり、飲んだりするたびにトイレに行かなくてはならないんですから。 (C. difficile に悩まされている間は)外出もできませんでしたが、カプセルのお陰で今はすっかり元気です」
技術の進展
このカプセルは内容物に水分が含まれるために、室温では内側から溶けてしまいます。 そのためカプセルをその都度作る必要がありますが、米国の研究者がカプセルを冷凍させる(細菌は死なない)という技術を開発中です。 この技術が完成すれば保存や輸送も可能になります。
家族ではなく病院のスタッフにカプセルの内容物の材料を提供してもらったという話もあるので、家族の大便を用いる理由は単に心理的なものであって、腸内細菌との相性などの理由では無いようです。 したがって、保存技術が完成すればカプセルを予め作っておくということも可能なのでしょう。
また、腸内細菌のうち C. difficile の抑制に有効な細菌を特定しようとしている研究グループもあります。 C. difficile に対して有効な細菌が明らかになれば、腸内細菌群のすべてを投与しなくても、その細菌だけを大量に培養して投与することが可能になります。
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