糞便移植のドナーが肥満者だと被移植者が肥満する?

(2015年2月) "Open Forum Infectious Diseases" 誌に、クロストリジウム・ディフィシル(C. difficile)感染症を治療するための糞便移植に肥満者の糞便を用いたために、被移植者が肥満してしまったという米国のケースが報告されています。

今回のケースから、糞便移植のドナー(糞便提供者)選定の基準に「肥満していない」という項目を追加する必要があると思われます。

糞便移植のドナーは被移植者の娘で、健康体でしたが過体重(1度の肥満)でした。 被移植者の女性の糞便移植を受けた時点での体重は約61キロで、BMIは26でした。 この女性は32才で、それまでずっと普通体重(*)でした。
(*) BMIが26というと1度の肥満になりますが...

腸内細菌のバランスを改善して C. difficile感染症を治療しようと結腸内視鏡を用いた糞便移植を行ってから16ヵ月後、被移植者女性の体重は約76.5キロ(BMIは33)にまで増加していました。

液体プロテイン食や運動など専門家の指導によるダイエットを行ったにも関わらず体重は減らず、糞便移植後から3年後には体重が80キロほど(BMIは34.5)にまで増加していました。 そして彼女は現在も肥満した状態のままです。

今回の報告を行ったブラウン大学の研究者は次のように述べています:
「糞便移植で移植した善玉菌が被移植者の代謝になんらかの悪影響を及ぼしたのかもしれません」
腸内細菌と体重とのあいだに関係のある可能性が、過去の複数の研究で示唆されています。 ただし、糞便移植のドナーが肥満者であったことのが今回のケースの原因であったと決め付けるわけにはゆきません。 被移植者女性はピロリ菌(胃炎の原因菌)による感染症を治療するために複数の種類の抗性物質を服用していたのです。 抗性物質の服用以外にも、C. difficile感染症の解消や、遺伝子的な要因、年齢、病気によるストレスなども体重増加に関与していた可能性があります。