リウマチが女性に多いのは胎児の細胞が出産後にも残るため?

(2014年10月) American Society of Human Genetics 2014 Annual Meeting で発表される予定であるカリフォルニア大学バークレー校の研究によると、胎児が父親から受け継ぐ遺伝子によっては、出産後に胎児の細胞が母親の体内に残り母親のリウマチ関節炎(以下「リウマチ」)のリスクが増加する可能性があります。

研究者は次のように述べています:
「妊娠中には、胎児の細胞が少量だけ母体を循環します。 一部の女性では、胎児の細胞が何十年ものあいだ体内に残るようです」

「(今回の研究で)リウマチを患っている女性は、そうでない女性に比べて胎児の細胞が残っているケースが多い傾向にありました。 胎児の細胞が母親の体の中に残る現象のことを『胎児性マイクロキメリズム』(*)といいますが、今回の結果から、この胎児性マイクロキメリズムがリウマチ発症のリスク要因である可能性が示唆されます」
(*) 胎児性マイクロキメリズム - fetal microchimerism
マイクロキメリズムとは、遺伝的に由来の異なる少数の細胞が体内に定着し存続している現象のこと。 母子間に生じることが多い。
研究の内容
この研究では、リウマチのリスクに関与する HLA 遺伝子の共通エピトープまたはその他の形態を持っている女性と持っていない女性、およびこれらの女性たちの子供たちの遺伝子を分析しました。

その結果、女性たち自身の遺伝子の違いを考慮した上でなお、子供の父親から受け継がれたこれらの高リスク・アレルを持っている女性の方が、リウマチのリスクが高くなっていました。

この結果から、女性本人の遺伝的リウマチ・リスク(*)の他にも、特定の高リスク・アレルを持つ子供を妊娠・出産することにより生じるリウマチ・リスクもあると考えられます。
(*) リウマチのリスク要因には、遺伝的な要因と生活習慣や感染症の病歴などの環境的な要因があると考えられています。
「共通エピトープなどの HLA アレルがどのようにリウマチのリスクに影響しているのかは未だ不明ですが、1つ考えられるのは、これらの遺伝子がエンコードするタンパク質間の相互作用がリウマチの自己免疫症状を促進しているという可能性です。

つまり、母親の免疫系が胎児の生産したタンパク質を探知して、出産後にも残っている胎児の細胞を有害なものと認識するために、免疫応答が生じてリウマチの症状が引き起こされるのではないかというわけです」
女性は男性の3倍もリウマチになりやすく、好発年齢は40~50代です。 男性よりも女性にリウマチが多いのも、マイクロキメリズムが原因かもしれません。