胎児のときのストレスが生後の慢性病の原因に

(2013年8月) "FASEB Journal" に掲載されたハーバード大学の研究によると、胎児もストレスを感じます。 そして、そのストレスによって生じる後成的な(遺伝子自体の変化によるのではなく、遺伝子の作用の変化による)撹乱が生後の慢性的な病気に関与しています。

胎児のストレスの原因となるのは、例えば、妊娠中の喫煙・母体の摂取する食事内容・母体が暴露される内分泌撹乱物質(有害な化学物質)などだと考えられます。

研究の内容

この研究では、胎盤と胎児の発達にとって重要なゲノム刷り込み遺伝子 (imprinted genes) の発現パターンを調べました。 114人の赤ちゃんの臍帯血と胎盤のサンプルを用いて、両親の遺伝子の発現パターンを分析し、さらに(DNAの)メチル化と発現を研究したのです。

刷り込みが行われる遺伝子座におけるメチル化のパターンが撹乱されて刷り込みの喪失(LOI)が生じると、ベックウィズ‐ヴィーデマン症候群(過剰な成長を起こすまれな障害で、新生児の段階で体格が大きく、さらに低血糖になる場合もある)などの深刻な刷り込み障害や、一部のガン(ウィルムス腫瘍や、大腸ガン、乳ガン)の原因となることがあります。

IGF2 と H19 という遺伝子における LOI の割合を調べたところ、臍帯血と胎盤のサンプルに対して、全体的な発現とメチル化を分析した結果、H19 の LOI は、臍帯血では4%、胎盤では3.3%に見られ、IGF2 の LOI が臍帯血では22%、胎盤では0%に見られました。

コメント
研究者は次のように述べています:
「長らくの間、胎児のストレスは(疾患の原因ではなくて)遺伝性疾患の結果だろうと考えてきましたが、胎児のストレスが慢性病の長期的なリスク要因であることがわかりました。 胎児のストレスが、胎児が両親から遺伝子を受け継ぐときの受け継ぎ方に悪影響を与えるのです」