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年を取るにつれて資産管理能力が衰えるのに、自信だけは健在

(2016年3月) "Management Science" 誌に掲載されたテキサス工科大学などの研究によると、年を取るにつれて資産管理能力が落ちるのに、自分の資産管理能力に関する自信は健在です。出典: Study: Financial Literacy Declines with Age, Confidence to Make Decisions Doesn’t

加齢に伴って資産運用に関する知識も知識を利用する能力も着実に衰えてゆくのに、衰え方がゆっくりであるために、資産管理能力の衰えに対する自覚が芽生えないというのです。

研究の結果

65~85才の米国人では資産管理能力テストの成績が若い頃の半分ほどにまで落ちていました。 教育水準・性別・資産などの要因を考慮しても結果に違いは生じませんでした。

また、若年層よりも高齢者層の方が生命保険の加入率が高かったのですが、高齢者は生命保険に関する基本的な質問にも正確に答えられない傾向にありました。

老化による自然な衰えの一部

記憶力や問題解決能力などの認知能力のテストと資産管理能力テストとで成績の低下に対する加齢の影響が似ていたことから、資産管理能力の低下は認知能力の自然な衰えの一部であると思われます。

資産管理においては契約条件を覚えておくとか情報を処理するといった行動が要求されますが、これらを行うには一定の認知能力が必要です。

現実的な問題

老後には安定的な収益源が乏しくなり、現役の頃に蓄えた資産への依存度が増加するため、資産管理能力の低下は特に重要な問題となります。

資産管理能力の低下は金融商品取引業者(証券会社など)にも付け入る隙を与えかねません。 シカゴ大学などが行った最近の研究では、従業員に非倫理的な行為が見られた金融商品取引業者が高齢者の多い地域に力を入れていることが明らかになっています。

米国では機関投資家・大金持ち・プロ的な投資家などを「有産投資家(accredited investor)」として位置づけ、仕組みが複雑な(そして高リスクな)金融商品を有産投資家以外に販売してはならないと定めていますが、資産を蓄えている高齢者は知識の有無に関わらず有産投資家とみなされることがあります。

怪しげな金融商品を素人に売りつけたい金融商品取引業者にとって、財務管理能力が衰えているのにその自覚が無い高齢者は格好の獲物だというわけです。