妊娠中に魚油を服用しても優秀な子供には育たない?

(2015年3月) "Nutrients" 誌に掲載された西オーストラリア大学などの研究(*)で、妊娠中に魚油(オメガ3脂肪酸)を服用していても生まれた子供が12才になった時点での認知能力(理解力や判断力、思考能力)などに影響は無いという結果になりました。
(*) Meldrum, S.; Dunstan, J.A.; Foster, J.K.; Simmer, K.; Prescott, S.L. Maternal Fish Oil Supplementation in Pregnancy: A 12 Year Follow-Up of a Randomised Controlled Trial. Nutrients 2015, 7, 2061-2067.

今回の研究は、2008年に発表された研究の続編です。

2008年の研究
2008年の研究では、妊娠中の魚油服用が胎児の神経発生に及ぼす影響を調べることを目的として、72人の妊婦を2つのグループに分けて妊娠20週目から分娩までにかけて、一方のグループ(33人)には魚油(DHA2.2gとEPA1.1gを含有)を、もう一方のグループ(39人)にはプラシーボ服用してもらいました。
神経発生
神経幹細胞や前駆細胞から新たな神経細胞が分化する現象のこと。 胚(胎児の前の段階)や胎児の時期に最も活性化し、脳の形成や発達に重要な役割を果たす。
2008年の研究の結果

2008年の研究で、生まれた子供が2才半になったときに眼と手を連動させる能力を両グループで比較したところ、魚油を服用していた母親から生まれた子供のグループの方が良い成績でした。

この成績は、臍帯血(出産時にヘソの緒から採取される血液)から採取した血液サンプルのオメガ3脂肪酸濃度と相関関係にありました(濃度が高いほど成績が良かった)。 一方、オメガ6脂肪酸濃度とは逆相関の関係にありました。

この結果から研究チームは、妊娠中の魚油服用が生まれる子供の眼と手の連動能力に良い効果をもたらす可能性があると結論付けていました。

今回の研究

今回の研究に協力してくれたのは、2008年の研究の被験者33人と39人のうちそれぞれ25人ずつ(計50組の母子)でした。

妊娠中の魚油服用の影響が子供が12才になったときにも残っているかどうかを調べるために、子供たちに認知能力や、言語能力、手先の器用さを測定する複数のテストをうけてもらいました。

今回の結果

テストの結果、認知能力や、言語能力、手先の器用さにおいて両グループの子供に有意な違いは見られませんでした(2才半のときに見られた差は消滅していた)。

ただし、子供が12才の時点でのDHA値(赤血球で計測)とIQなどの知能とのあいだには統計学的に有意な相関関係が見られました(この調査に参加したのは、魚油のグループでは23人、プラシーボのグループでは17人のみ)。 性別や母親の教育水準、母乳育児の期間などを考慮しても、この有意性は失われませんでした。

研究チームによると、今回の研究は被験者数が50組にまで減ったために信頼性に難があり、今後の研究で今回の結果を確認する必要があります。