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ココアの成分「フラバノール」で熟年者の記憶力が20~30才若返る

(2014年10月) "Nature Neuroscience" 誌オンライン版に掲載されたコロンビア大学の研究によると、ココアの成分であるフラバノールというポリフェノールの一種に、健康な高齢者に見られる記憶力の衰えを好転させる効果があると考えられます。

今回の研究では、加齢による記憶力の衰えの原因の一部が脳の特定の領域の変化にあること、そして加齢に起因する記憶力の衰えを食事療法により改善できることが示されました。
加齢による記憶力の衰え

年を取ると認知能力(学習能力や記憶力など)がいくらか衰えるのが普通です。 このような加齢による通常の記憶力の衰えは成人後まもなく始まりますが、生活の質に明らかな影響が出始めるのは通例、50~60代になってからです。

加齢による自然な記憶力の衰えはアルツハイマー病による壊滅的な記憶障害とは異なります。 アルツハイマー病では、病気の進行によって脳の様々な領域(記憶回路を含む)の神経細胞がダメージを受けて破壊されます。

これまでの研究では、加齢による記憶力低下が見られる高齢者では脳の海馬の一部である歯状回という部分に変化が生じていることが示されていましたが、歯状回の変化と記憶力低下との因果関係は示されていませんでした。

今回の研究では、歯状回の異常が加齢による記憶力低下の原因であるかどうかを確認するために、ココアの成分であるフラバノールを用いることによって歯状回の機能と記憶力が同時に改善されるかどうかを試験しました。 フラバノールは過去の動物実験で、マウスの歯状回における神経細胞接続を改善する作用を示しています。

今回の試験に使われたココア飲料は Mars社の提供によるもので、同社は研究資金の一部も拠出しています。 Mars社はカカオ豆からフラバノールを抽出する技術の特許を所有しています。 ココアを処理する技術の大部分は、フラバノールも除去してしまいます。

研究の方法

この研究では、50~69才の健康な男女37人を2つのグループに分けて、一方のグループには900mgのフラバノールを、もう一方のグループには10mgのフラバノールをココア飲料で3ヶ月間にわたって毎日摂取してもらいました。

そして、この3ヶ月間の前後で両グループに脳画像の撮影と記憶力のテストを行いました。 脳画像では歯状回の血液量を測定しました。 血液量は代謝の指標となります。 記憶力テストでは、20分間にわたるパターン認識テストを行って歯状回が担当するタイプの記憶力を評価しました。

結果

その結果、900mgのフラバノールを摂取したグループでは、歯状回の機能が顕著に改善しており、さらに記憶力テストの結果も(10mgのグループよりも)有意に良好でした。

記憶力の改善幅に関して研究者は次のように述べています:
「(フラバノールを900mg摂取したグループの)平均で、フラバノールを3ヶ月間摂取する前の時点での記憶力が一般的な60才の人と同程度であったとすれば、フラバノールを3ヶ月間摂取した後の記憶力は30~40才の人の一般的な記憶力と同程度にまで向上していました」

今回の研究で用いられたフラバノール製品は、チョコレートに含まれるものと同じではありません。 研究チームは、今回の研究と同じ結果を得ようとしてチョコレートを大量に食べたりしないようにと警告しています。 Mars社のフラバノール製品を買えということでしょうか。

ココアに含まれるフラバノールの量は、ココアの乾燥重量の3~11%(産地により異なる)だそうです英文ソース。 フラバノール含有量が仮に5%だとすれば、900mgのフラバノールを摂るには18gものココアを摂る必要があります。 フラバノールはココア以外に、茶葉や一部の果物・野菜にも含まれますが、含有量や形態などが様々に異なります。