(2016年6月) "Nutrients" 誌に掲載された鄭州大学(中国)の研究(メタ分析)によると、食道ガンの予防にポリフェノールの一種であるフラボノイドの摂取が有効かもしれません。(出典: Flavonoids, Flavonoid Subclasses, and Esophageal Cancer Risk: A Meta-Analysis of Epidemiologic Studies)
前向きコホート研究では、研究開始の時点においては被験者全員が健康で、調べたい項目(この話ではフラボノイド類の摂取量)によって被験者を複数のグループに分けて一定の期間を追跡調査します。
これに対して(後ろ向きの)ケース・コントロール研究では、すでに病気にかかっている患者のグループと健常者のグループとで調べたい項目について比較します。データに含まれる食道ガンの患者数は 2,629件で、比較対象として用いられた健常者の人数は48万人超でした。
フラボノイド類全体では、摂取量が多いと食道ガンのリスクが低いという関係の統計学的な有意性は微妙(OR = 0.78, 95% CI: 0.59-1.04)でした。
しかしながらフラボノイドの種類ごとに分析すると、アントシアニジン、フラバノン、またはフラボンの摂取量が多い人は少ない人よりも食道ガンのリスクが低いという結果でした(それぞれ40%、35%、22%のリスク低下)。
フラボノイドは、酸化ダメージを減らす・フリーラジカルを抑える・(ガン細胞の)細胞死と細胞周期停止を誘導するなどによってガンの予防効果を発揮するのではないかと考えられています。
フラボノイドは野菜や果物に豊富に含まれていますが、野菜・果物の摂取量が多い人では食道ガンのリスクが低いことを示す研究が数多く発表されています。 したがって、野菜・果物を積極的に食べてフラボノイドの摂取量を増やすのが食道ガンの予防に有効かもしれません。