Grant Quiller et al. "Dietary flavonoids improve urinary arsenic elimination among Mexican women"
研究の背景
無機ヒ素(iAs)はガンなどの病気のリスクを増大させます。 iAsの体外への排泄にはグルタチオン(体内で作られる抗酸化物質)が重要な役割を果たしています。 そして、フラボノイドなどの栄養素にグルタチオンを活性化させる作用のあることが知られています。

研究の方法
ヒ素汚染で知られるメキシコ北部のとある地域に住む女性1千人超を対象に、アンケート調査でポリフェノール類(*)の摂取量などを調べたりカコジル酸(iAsの代謝物の一種)の尿中濃度を検査したりしました。
(*) フラバン-3-オール、フラボン、フラボノール、フラバノン、アントシアニジン。
結果
フラバン-3-オールやフラボンの摂取量が多い女性はカコジル酸の尿中濃度が高い(iAsの排泄量が多いと推測される)という結果でした。
フラボノイド類をもっと細かく分類すると、アピゲニン、ルテオリン、またはエリオジクチオールの摂取量が多い場合にカコジル酸の尿中濃度が高くなっていました。
留意点
今後の研究で今回の結果を確認する必要があります。
フラボノイド源
大きいカテゴリー
- フラバン-3-オールはフラバンの派生物で、フラバノール(フラボノールとの混同に注意)という別名があります。 フラバン-3-オールを含有する食品には茶・りんご・ワイン・ココア(チョコレート)などがあります。
- フラボンは、パセリや、タイム、セロリなどの野菜やハーブに含まれています。
- フラバノンは、グレープフルーツやミカンなどの柑橘系果実に豊富に含まれています。
小さいカテゴリー
- アピゲニン(フラボンの一種)は、パセリやセロリなどの野菜や果実のほかカモミール茶などに含まれています。
- ルテオリン(フラボンの一種)は、樹皮やクローバーの花、夏季の花粉症の原因として知られるブタクサの花粉に豊富に含まれています。 食べ物では、パセリ、セロリ、しそ、ピーマン(ししとうがらし)、にんじん、オリーブ油、ハーブ類などに含まれています。
- エリオジクチオール(フラバノンの1種)はレモンやローズ・ヒップなどの成分です。