心臓病の予防にはブドウ、脳卒中の予防には柑橘類?

(2016年9月) アラバマ大学バーミンガム校などが行い "American Journal of Clinical Nutrition" と "Journal of Nutrition" に掲載された2つの研究によると、冠動脈疾患(CHD)の予防には色の濃いブドウが、そして脳卒中(虚血性)の予防には柑橘系の果物が有効かもしれません。
2つの研究はいずれも、REGARDS(REasons for Geographic and Racial Differences in Stroke)と呼ばれ、白人と黒人だけを調査した米国のデータベースに基づいています。
冠動脈疾患
研究の方法
冠動脈疾患(CHD)の病歴が無い男女 16,678人を対象に、食生活に関するアンケートを実施したのち平均6年間にわたりCHDの発症状況を追跡調査しました。 そして、フラボノイド類の摂取量に応じてデータを5つのグループに分けて、CHDのリスクをグループ間で比較しました。出典: Dietary flavonoid intake and incident coronary heart disease...
フラボノイドとは
フラボノイドは植物由来のポリフェノールで、果物や野菜など植物性の食品全般に含まれています。 フラボノイドは、植物性の食品を原料として作られるチョコレート・お茶・赤ワインなどにも豊富に含まれています。
結果

追跡期間中に589件のCHDが発生しました。 社会人口統計学的な要因(*)・生活習慣・食生活などを考慮しつつデータを分析したところ、フラボノイド類のうちアントシアニジンおよびプロアントシアニジン(†)の摂取量が多いとCHDの発症リスクが低いという結果でした。

アントシアニジンとプロアントシアニジンそれぞれの摂取量が最も多いグループと最も少ないグループとの比較において、アントシアニジンの摂取量が最も多いグループではCHDのリスクが29%、そしてプロアントシアニジンの摂取量が最も多いグループではCHDのリスクが37%低くなっていました。

(*) 一般的には、社会経済的状態(収入・職業・学歴など)に加えて、年齢・性別・人種・家族構成・居住地など。

(†) アントシアニジンは、ブルーベリーなどのベリー類のほか、ブドウ(色の濃いもの)、赤キャベツなどに豊富に含まれています。 プロアントシアニジンは、ブドウ(色の濃いもの)や赤ワインに豊富に含まれています。

アントシアニジンとプロアントシアニジン以外のフラボノイドの摂取量やフラボノイド類の総摂取量とCHD発症リスクとのあいだには関係が見られませんでした。

脳卒中
研究の方法
脳卒中の病歴が無い男女 20,024人を対象に、食生活に関するアンケートを実施したのち平均6.5年間にわたり虚血性脳卒中(*)の発症状況を追跡調査しました。 そして、フラボノイドの摂取量に応じてデータを5つのグループに分けて、虚血性脳卒中のリスクをグループ間で比較しました。出典: Flavanone Intake Is Inversely Associated with Risk of Incident Ischemic Stroke...
(*) 脳卒中には血栓が引き起こす虚血性の脳卒中と、脳内出血による出血性脳卒中の2種類が存在します。 虚血性脳卒中が脳卒中全体の85%を占め、出血性脳卒中は15%ですが虚血性脳卒中よりも致命的となりがちです。
結果
追跡期間中に524件の虚血性脳卒中が発生しました。 様々な要因(*)を考慮しつつデータを分析したところ、フラバノンというフラボノイドの摂取量が多いと虚血性脳卒中の発症リスクが低いという結果でした。 フラバノンの摂取量が最も多いグループは最も少ないグループに比べて、虚血性脳卒中のリスクが28%低くなっていました。
(*) 1つ目の研究と同じような要因でしょう。
柑橘系の果実やジュースの摂取量が多い場合にも虚血性脳卒中のリスクが31%低下していました。
(*) フラバノンはグレープフルーツやミカンなどの柑橘類に豊富に含まれています。
フラバノン以外のフラボノイドの摂取量やフラボノイド類の総摂取量と虚血性脳卒中を発症するリスクとのあいだには関係が見られませんでした。
類似研究
今年の8月に発表された研究でも、フラバノンの摂取量が多いと虚血性脳卒中になりにくいという結果になっています。 また、今年の6月に発表された研究では、フラボノイド類の総摂取量が多い場合にも脳卒中(出血性を含む)のリスクが低いという結果になっています。