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フラボノイドに中高年の女性の鬱病を予防する効果

(2016年7月) "American Journal of Clinical Nutrition" に掲載された研究によると、フラボノイドに中高年の女性の鬱病を予防する効果があるかもしれません。出典: Dietary flavonoid intake and risk of incident depression in midlife and older women

研究の方法

鬱病になったことがない36~80才の女性8万2千人超を10年間にわたり追跡調査して、フラボノイド摂取量と鬱病発生率との関係を調べました。

フラボノイド(後述)の摂取量の調査は、追跡期間中に2~4年おきに行いました。 鬱病と医師に診断された場合または抗鬱剤を服用していた場合を鬱病とみなしました。

結果

10年間のうちに発生した鬱病の件数は1万1千件近くでした。

フラボノール、フラボン、フラバノン

フラボノール、フラボン、およびフラバノンという3種類のフラボノイドの摂取量に応じてデータ全体を5つのグループに分けたなかで、これらのフラボノイドの摂取量が最も多いグループは最も少ないグループに比べて、鬱病のリスクがフラボノールでは7%、フラボンでは8%、およびフラバノンでは10%低くなっていました。

フラボノイドを含有する食品

オレンジなど柑橘系の果物またはジュースの摂取量が2食分/日以上だというグループは、摂取量が1食分/週未満だというグループに比べて鬱病のリスクが8%低くなっていました。

高齢者に限ると

追跡開始時または追跡期間中に65才であった女性のデータに限って分析したところ、フラバン-3-オールを除く各フラボノイド摂取量が多いと鬱病リスクが低いという関係が見られました。 鬱病リスクの低下が顕著だったのはフラボンとプロアントシアニジンで、どちらも7%のリスク低下でした。

考えられる理由
フラボノイドの摂取により鬱病のリスクが下がるメカニズムは解明されてはいませんが、これまでの研究によるとフラボノイドは次のような作用によって鬱病予防に効果を発揮している可能性があります:
  • ニューロンの生存とシナプス可塑性に関与するシグナル伝達経路の調節
  • 神経細胞の炎症の低減
  • 血流改善
  • 酸化ストレスの低減
フラボノイドについて

フラボノイドは植物由来のポリフェノールで、果物や野菜など植物性の食品全般に含まれています。 ブルーベリーに含まれることで有名なアントシアニンや、緑茶に含まれることで有名なカテキン、大豆の成分として有名なイソフラボン、タマネギの成分として知られるケルセチンもフラボノイドの仲間です。

フラボノイドは野菜や果物だけでなく、植物性の食品を原料として作られるチョコレートや、お茶、赤ワインにも豊富に含まれています。

今回の研究に登場したフラボノイド
今回の研究で調査対象となったフラボノイドは次の7種類です: フラボノール、フラボン、フラバノン、アントシアニン、プロアントシアニジン、高分子フラボノイド、フラバン-3-オール。
  • フラボノールに分類されるフラボノイドには、ケルセチンやケンフェロール、ミリセチン、ナツダイダインなどがあり、これらは様々な野菜や果物に含まれています。 ナツダイダインは夏ミカンから発見されました。
  • フラボン(アピゲニンやルテオリンなど)は、パセリや、タイム、セロリなどの野菜・ハーブに含まれています。
  • フラバノンは、グレープフルーツやミカンなどの柑橘系果実に豊富に含まれています。
  • プロアントシアニジンは、ブドウ(色の濃いもの)や赤ワインに豊富に含まれています。
  • 高分子フラボノイドに分類されるのは、プロアントシアニジン、テアフラビン(紅茶の色素)、テアルビジン(紅茶の色素)などです。
  • フラバン-3-オールはフラバンの派生物で、フラノール(フラノールとの混同に注意)という別名があります。 緑茶カテキンやテアフラビン、プロアントシアニジンなどがフラバン-3-オールの仲間です。