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インフルエンザに対してアセトアミノフェンは毒にも薬にもならない

(2015年12月) "Respirology" 誌に掲載された Medical Research Institute of New Zealand などの研究によると、インフルエンザにかかったときにアセトアミノフェン(*)を服用するのは無意味です。
(*) 『タイレノール』 『セデス』 『ノーシン』などの解熱鎮痛剤の有効成分。
無意味である理由

インフルエンザにかかったときに生じる発熱には、インフルエンザ・ウイルスを抑制する効果があります。 体温が高いとインフルエンザ・ウイルスが増殖しにくいためです。

したがって、アセトアミノフェンによってインフルエンザによる発熱が緩和されると、熱が下がる代償としてインフルエンザ・ウイルスが活発化する恐れがあります。

しかし今回の研究によると、インフルエンザにかかったときにアセトアミノフェンを服用しても発熱などの症状が緩和されることはなく、回復までに要する期間に違いもありません。 つまり、インフルエンザにかかったときにアセトアミノフェンを飲んでも毒にも薬にもならないというわけです。

研究の方法

インフルエンザにかかってから48時間以内の男女80人(18~65才)を対象に二重盲検試験を実施しました。

被験者
37.8℃以上の発熱に加えて筋肉痛・頭痛・疲労感・咳・喉の痛み・鼻水などの症状のうち1つ以上があり、さらに簡易的なインフルエンザ検査で陽性(*)となった人たちを被験者としました。
(*) RT-PRC法という検査でインフルエンザの種類まで特定されたのは、アセトアミノフェンのグループで24人、プラシーボのグループで22人でした。
試験
試験では、80人を2つのグループに分けて5日間にわたり、一方のグループにはアセトアミノフェン500mg2錠を、そしてもう一方のグループには同量のプラシーボを1日に4回(つまり1日あたり4g)服用してもらい、14日間にわたり経過を観察しました。
アセトアミノフェンまたはプラシーボに加えて、インフルエンザ治療薬であるオセルタミビル(タミフル)も被験者全員に投与されました(75mg×2回/日)。
結果

試験開始から4日目にプラシーボ・グループの1人が急性腎障害により試験から脱落しました。 残りの79人において、インフルエンザの症状・体温・インフルエンザが治るまでに要した時間・健康状態にグループ間での違いは見られませんでした。

留意点
今回の試験では被験者の発熱がさほどではなかった(*)ため、発熱がもっとひどい場合にはアセトアミノフェンで熱が下がるという可能性は残っています。
(*) RT-PRC法で陽性だった患者の1日目の平均体温が38.1℃で、これが2日目には37.4℃にまで下がりました。
コメント
研究者は次のように述べています:

「今回の結果から、インフルエンザにかかった場合あるいはインフルエンザのような症状が出たときにアセトアミノフェンを飲むのが良いとも悪いとも言えません」

「1つだけ言えるのは、インフルエンザの予防接種を受けなさいということです。 特に妊婦・子供・高齢者・慢性疾患を抱えている人は毎年予防接種を受けるべきです。 インフルエンザに対しては予防接種がもっとも効果的です」