葉酸とエナラプリルの併用が虚血性脳卒中などのリスク低下に効果

(2015年3月) "JAMA" に掲載される北京大学の研究で、ビタミンBの一種である葉酸をエナラプリルという高血圧の薬(ACE阻害薬)と併用することによって脳卒中の発生リスクが低下するという結果になりました。

研究の方法
この研究では、脳卒中や心臓発作の病歴を持たない高血圧患者 20,702人の MTHFR C677T 遺伝子(*)の変異を検査したうえで、患者たちを2つのグループに分けて、一方のグループ(10,348人)にはエナラプリル10mgおよび葉酸0.8mgを含有する錠剤を、そしてもう一方のグループ(10,354人)にはエナラプリル10mgのみを含有する錠剤を4.5年間(中央値)にわたって服用してもらいました。
(*) 葉酸塩の代謝に関与する遺伝子。 葉酸(folic acid)が人工的に合成されるのに対して、葉酸塩(folate)は天然に存在するビタミンです。 葉酸塩は心臓病や脳卒中のリスク要因であると考えられているホモシステインの分解に必要とされます。
結果

試験期間中に初めて脳卒中になったという人の数が、エナラプリルおよび葉酸を服用したグループでは282人(2.7%)だったのに対して、エナラプリルのみを服用したグループhであ355人(3.4%)でした。 両グループのリスクの差は、絶対リスクで言えば0.7%、相対リスクで言えば21%になります。

両グループ間でリスクに差が出ていたのは虚血性脳卒中(2.2%と2.8%)と複合心血管イベント(心血管に起因する死亡、心臓発作、脳卒中。 3.1%と3.9%)で、出血性脳卒中、心臓発作、総死亡率、および有害事象の頻度についてはリスクの有意差は見られませんでした。

エナラプリルと葉酸の併用は、試験開始の時点で葉酸塩の血中濃度が低かった人、および MTHFR C677T の遺伝子型が「(CCやCTに対して)TT」というタイプのものである人で顕著でした。

MTHFR C677T の遺伝子型

Wikipedia(英語)によると、CCが普通のタイプで、CTもCCとあまり違いません。 遺伝子型がTTの人は5-メチルテトラヒドロ葉酸というホモシステインの分解に用いられる物質の生産量が少なくなる傾向にあります。

この5-メチルテトラヒドロ葉酸というのはWikipedia(日本語)によると、葉酸 ⇒ テトラヒドロ葉酸 という段階を経て作られるということなので、MTHFR C677T の遺伝子型がTTの人は、葉酸がホモシステインの分解に必要な形態に変換される効率が悪く、そのために葉酸の摂取量を増やすのが有効ということなのでしょう。