(2012年7月) 幸せなときには笑顔になりますが、"Psychological Science" 誌に掲載された研究によると、無理に笑顔を作ることで幸せになるということもあるかもしれません。
研究の方法
この研究では、169人の被験者を次の3つのグループに分けました:
- 普段の表情(ニコリともしない)を保つグループ。
- 口でお箸を保持することによって口元だけの笑顔になるグループ。
- 口でお箸を保持することによって口元から目元まで顔全体に広がる笑顔になるグループ。
つまり、2種類の作り笑顔を実験の対象としたというわけです。 1つはお箸を用いて意思や感情とは関わり無く生じる笑顔。 そして、もう1つは自らの意思によって作り出す笑顔。 後者が俗に言う「作り笑顔」にあたります。
そして、これらの表情を保ったまま(口で棒を保持したまま)で、ストレスが生じる次の2つの行為をしてもらいました。
- 鏡に映る星の動きを利き手ではない方の手でなぞる。
- 冷水に手を浸す。
結果
2つの行為の最中に被験者の心拍数を計り、さらに被験者に自分が感じたストレスを報告してもらったところ、自発的な作り笑顔をしたグループ(特に顔全体で笑ったグループ)は笑顔をしなかったグループに比べて、ストレス行為後の心拍数が少なく(ストレスの軽減幅が大きく)なっていました。
また、お箸を用いて非自発的な作り笑顔になったグループでも、笑顔をしなかったグループに比べるとストレス行為による心理面への悪影響が緩和されていました。
今回の結果から、作り笑顔はもちろんのこと、作り笑顔をするつもりすらなく単に顔の表情が物理的に笑顔の形になるだけであってもストレスの軽減に有効であることが示唆されます。
自発的な作り笑顔でもストレス軽減の効果が大きいということなのですから、作り笑顔でない心の底からの笑顔のストレス軽減効果はすごいものがありそうですね。