人工ミルクへの DHAとARAの添加は子供の知能向上に有効

(2013年8月) "American Journal of Clinical Nutrition" に掲載されたカンザス大学の研究で、人工ミルク(粉ミルク)に長鎖不飽和脂肪酸(LCPUFA)を添加するのが子供の知能の発達に有益だという結果になりました。

LCPUFA について

今回の研究で調査対象となった LCPUFA は、オメガ3脂肪酸の一種であるドコサヘキサエン酸(DHA)と、オメガ6脂肪酸であるアラキドン酸(ARA)です。

DHAとARAはいずれも脳や目の発達に必須となる長鎖脂肪酸で、赤ちゃんは胎児のときには母体から、そして生後は母乳からDHAとARAを供給されます。 参考記事: 母乳で育てられた子供は吃音症が治りやすい

研究の方法
81人の乳児を4つのグループに分け、二重盲検法を用いて生後1年間にわたって各グループを次の4種類の人工ミルクのいずれかで育てました:
  • LCPUFA を含有していない人工ミルク
  • LCPUFA を少しだけ含有する人工ミルク
  • LCPUFA をそこそこ含有する人工ミルク
  • LCPUFA 豊富に含む人工ミルク

そして各グループを対象に、生後1年半から6歳まで半年おきに年齢に応じた知能テストや認知テストを実施しました。

結果

1歳半の時点では、知能・認知テストの成績に各グループで差はありませんでしたが、3歳になる頃には、感度の高い認知テストにおいて差が現れ始めました。

生後の1年間を長鎖不飽和脂肪酸(LCPUFA)を強化した人工ミルクで育てられた子供の方が、コントロール・グループ(LCPUFA を含有しない人工ミルクで育てられた子供たち)に比べて3~6歳のときに行った知能テストの成績が高かったのです。

成績の差が顕著だったのは、3~5歳の子供におけるパターン認識・規則性の学習・抑制が関与する作業を行う能力の発達と、5歳の時点で行った Peabody Picture Vocabulary Test(絵を用いた語彙テスト) および 6歳の時点で行った Weschler Primary Preschool Scales of Intelligence(就学前の児童向けの知能テスト)の成績でした。

過去の類似研究
LCPUFA の積極的な摂取が子供の知能にもたらす効果については過去にも複数の研究が行われており、それらの結果はまちまちでしたが、過去の研究の大部分は、1歳半の時点でのみ Bayley Scales of Infant Development というテストを行うというものでした。