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睡眠が断続的な高齢者は脳の血流が妨げられていることが多い

(2016年1月) "Stroke" 誌に掲載されたトロント大学の研究で、睡眠が断続的な高齢者には重度のアテローム性動脈硬化や脳組織の酸素欠乏(梗塞)が見られることが多いという結果になりました。

アテローム性動脈硬化(いわゆる普通の動脈硬化)と脳組織の酸素欠乏はいずれも、脳卒中や認知機能障害のリスク要因です。

断続的な睡眠とは

断続的な睡眠(Fragmented sleep)とは、1度の睡眠において夜中に目が覚めたり(awakening)半覚醒状態になったり(arousal)するのを繰り返すことを言います。 今回のデータでは、1時間おきに平均7回睡眠が途切れていました。

断続的な睡眠と心血管疾患(心臓病や脳卒中)との関係を調べた研究はこれまでにも行われていますが、断続的な睡眠と脳組織における血管の損傷および梗塞を病理解剖で調べた結果とを照らし合わせた研究は今回が初めてです。

研究の方法

平均年齢90才の男女315人(70%が女性)の24時間の活動中および睡眠中の状態を1週間以上にわたりモニターして睡眠の質と概日リズム(サーカディアン・リズム)を調べました。 そして、この人たちが亡くなった後に病理解剖を行い脳を調べました。

315人のうち存命中に脳卒中を起こしたのは29%で、脳の血管に中~重度の損傷が生じている兆候が見られたのは61%でした。

結果

睡眠中に目覚めることが多いグループでは、重度のアテローム性動脈硬化が生じている率が27%高くなっていました。 さらに、睡眠中に半覚醒状態になる回数が1時間につき2回増えるごとに、脳に梗塞(*)の兆候が見られる率が30%高くなっていました。

これらの数字は、喫煙歴・糖尿病・高血圧・アルツハイマー病・抑鬱・心不全の有無やBMIなどを考慮した後のものです。

(*) 原文では「酸素の欠乏」。 原文では「酸素の欠乏」と「梗塞」を同じ意味として用いているようなので統一しました。

Wikipedia によると「梗塞」とは、血管の閉塞による酸素不足のために壊死した組織(infarct)または、血管の閉塞による酸素不足のために組織が壊死すること(infarction)という意味です。
コメント
研究者は次のように述べています:

「今回(睡眠が断続的な高齢者に多く)見られたような脳の損傷は、脳卒中のリスクだけでなく進行性の認知機能障害や運動機能障害のリスクにも関わっている可能性があります」

「ただし今回の結果は何通りかに解釈できます。 まず、断続的な睡眠が脳への血流を妨げているという可能性が考えられます。 逆に、脳への血流が妨げられているために睡眠が断続的となっている可能性もあります。 さらに、断続的な睡眠と脳への血流の阻害の両方が第三の要因により引き起こされている可能性もありえます」