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心臓病・脳卒中・食道ガンなどによる死亡リスクが生鮮果物で低下?

(2017年4月) "International Journal of Epidemiology" に掲載されたオックスフォード大学などの研究で、未加工の果物を食べる習慣がある人は早死にすることが少ないという結果になりました。

研究の方法

主要な慢性疾患(*)を患っていない30~79才(平均51才)の中国人男女46万人超を対象に食生活などに関するアンケートを実施して(缶詰などに加工されたのではない)果物の摂取量を調べました。 そして、その後7年間にわたり死亡状況を追跡調査しました。
(*) 心臓病・脳卒中・ガン・慢性閉塞性肺疾患(COPD)・糖尿病など。

結果

追跡期間中に1万8千人弱が死亡しました。 1万8千人弱のうち心血管疾患(心臓病や脳卒中)で死亡したのは 6,166人、ガンで死亡したのは 6,796人、COPDで死亡したのは 1,119人でした。 28%の人に果物を食べる習慣があり(*)、6%の人に果物を食べる習慣がありませんでした(†)

(*) 1週間のうち果物を食べる日が4日以上ある。

(†) 決して食べない、または滅多に食べない。
果物を食べる習慣があったグループは食べる習慣がなかったグループに比べて、死亡リスクが次のように低下していました:
  • 総死亡リスク(死因を問わない死亡リスク): -27%
  • 心血管疾患で死亡するリスク: -34%
  • ガンで死亡するリスク: -17%
  • COPDで死亡するリスク: -42%
  • その他の主要慢性疾患(*)で死亡するリスク: -33%
(*) 糖尿病・慢性腎疾患・肝硬変など。

上記の各死亡リスクは大体において、果物を食べる量が多いほど低くなっていました。 果物を食べる量が100g/日増えた場合の死亡リスク低下幅は、総死亡リスクが-28%、心血管疾患で死亡するリスクが-39%、ガンで死亡するリスクが-16%、COPDで死亡するリスクが-49%というものでした。

心血管疾患の種類別の死亡リスク

心血管疾患を虚血性心疾患・虚血性脳卒中・出血性脳卒中・その他の心血管疾患という4つのカテゴリーに分けた分析において、いずれのカテゴリーでも死亡リスクがきれいに低下していました。リスク低下の幅は先頭から順に-46%・-32%・-38%・-34%というものでした。

ガンの部位別の死亡リスク

果物を食べる量が多いと死亡リスクが低いという関係が明確かつ顕著だったのは食道ガン(死亡者数801人)で、果物を食べる量が100g/日増えるごとに死亡リスクが38%下がっていました。

ガン中で死亡者数が多かったのは、肺ガン(1,600人)、肝臓ガン(1,100人)、胃ガン(990人)ですが、これらのガンについては果物を食べる量が多くても死亡リスクが統計学的に有意に減っていませんでした。

過去の類似研究

心血管疾患

心血管疾患については今回と同様に果物の摂取量が多いと死亡リスクが低いという結果になっています。 リスク低下の幅は今回の研究ほどではありませんが、それは今回の研究では加工された果物の摂取量を除外したからかもしれません。

ガン

ガンについては、日本で行われた研究(しかしリンク先は英文)で野菜の摂取量が多くても肺ガンのリスクは下がらないが果物の摂取量が多いと肺ガンのリスクが下がるという結果になっている一方で、食道ガンなどの消化器系のガンについて調べた複数の研究では、死亡リスクの低下幅が今回の研究ほどではありません。

食道ガンに関しては、柑橘類の摂取量が多いと発症リスクが低いという研究や、果物(ベリー類、ブドウ、柑橘類)に豊富に含まれるフラボノイドの摂取量が多いと発症リスクが低いという結果になったものが存在します。

COPD

果物摂取量とCOPDで死亡するリスクとの関係について調べた研究はほとんど行われていません。 欧州で行われた小規模な研究に、果物を食べる量が100g/日増えるごとにリスクが14%下がるという結果になったものがありますが、この結果は統計学的な有意性が微妙(95% CI 0.69~1.07)でした。

野菜と果物

果物は野菜とセットで摂取量と死亡リスクとの関係が調査されることが多いようですが、そういう研究でも大体において摂取量が多い人は死亡リスクが低いという結果になっています。 果物や野菜の摂取量が多いと死亡リスクが低いという関係は、ガンよりも心血管疾患で明確であったり顕著です。

2017年2月に今回の研究と同じ "International Journal of Epidemiology" に掲載されたメタ分析でも200万人分のデータを分析して、野菜・果物を1日あたり800g食べた場合の死亡リスク低下が、心臓病が24%そして脳卒中が33%であるのに対して、ガンでは13%であるという結果になっています。