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アンチ・エイジングのためにはフライド・ポテトを避けるべき?

(2018年4月) "Scientific Reports" に掲載されたベルギーの研究で、食生活全般とテロメアの長さとの間には関係が見られないけれどフライド・ポテトの摂取量が多い場合にはテロメアが短いという結果になりました。

テロメアとは

テロメアとは、染色体の両端にあって染色体同士が癒着したり変質したり(ガンの原因になる)しないように保護している部分のことです。 染色体が靴紐であるとすれば、テロメアは靴紐の先端のキャップに該当します。

テロメアは細胞が分裂するたびに(つまり老化により)短くなってゆき、テロメアが失われた染色体は不安定になります。 通常はテロメアが一定以下の長さになった時点で「細胞老化」により細胞が破壊されますが、このような破壊を免れた細胞はガン化します。

テロメアと健康

細胞が分裂するたびに短くなっていくというテロメアの性質のために、テロメアは肉体の老化度を知るための指標として用いられます。

また、ガン・心臓病・脳卒中・認知症・肥満・骨粗鬆症・感染症・糖尿病・高血圧・抑鬱などの病気を抱えている人はテロメアが短いというデータがあります。 テロメアが短いとこうした病気のリスクが増加するのかもしれませんし、こうした病気によってテロメアが短くなるのかもしれません。

テロメアが短くなる生活習慣

喫煙・肥満・劣悪な食事・過度の飲酒・心理的ストレス・大気汚染・酸化ストレス慢性炎症によってテロメアが短くなるペースが速まることが複数の研究で示されています。 テロメアが短くなりやすい体質(遺伝子のタイプ)というものもあります。

研究の方法

ベルギー在住で健康と見受けられる35~55才の男女 2,509人を対象に、アンケート調査で食生活を調べたり血液検査でテロメアの長さや炎症/酸化ストレスのマーカーの血中濃度を調べたりしました。

結果

食生活

食生活の多様性・栄養バランス・食事炎症指数(DII)・食物繊維の摂取量・カロリー摂取量といった食生活の性質とテロメアの長さとの間には関係が見られませんでした。

テロメアの長さとDII・食物繊維の摂取量・カロリー摂取量との間に関係が見られないという結果はこれまでの類似研究の結果と食い違っており、研究グループにとっても意外な結果でした。 食物繊維には強い抗炎症作用がありますし、多数の動物実験でカロリー摂取量が少ないと寿命が延びることが示されています。

食品ごと

食品ごとの分析(*)では、フライド・ポテトの摂取量が多いとテロメアが短いという関係が見られました。 フライドポテトの摂取量が100g/日増えるごとにテロメアが151bp(†)短いという計算になります。

(*) フライド・ポテト以外で調査対象となった食品は卵・精白穀物・全粒穀物・魚介類・バター/マーガリン・肉類・チーズ・じゃがいも(揚げ物以外)・野菜など。

(†) ヒトでは16才頃から、テロメアの長さが1年あたり50~100bp(塩基対)ほどのペースで短くなってゆくと言われています。 1年あたり15~16bpや20~40bpあるいは55bpほどのペースでテロメアが短くなってゆくというデータもあります。 年齢やテロメアの採取場所などによる違いでしょう。
フライド・ポテトの摂取量が多いとC反応性タンパク質(CRP)と尿酸(*)の血中濃度が高いという関係が見られましたが、これら以外の炎症/酸化ストレスのマーカーとフライド・ポテト摂取量との間には関係が見られませんでした。
(*) 細胞外においては抗酸化物質としての性質を有し、細胞内においては酸化促進物質としての性質を有しガンの発生を助長する。 高すぎる尿酸値は慢性炎症の兆候。

解説

フライド・ポテトを食べる量が多い人のテロメアが短かった理由について研究グループは次のように述べています:

  • フライド・ポテトが酸化ストレス炎症を引き起こしてテロメアが短くなっているのかもしれない。

    フライド・ポテト摂取量との間に関係が見られたマーカーはCRPと尿酸だけだったが、酸化ストレス/炎症のマーカーは比較的変動しやすいため、今回の研究のようにマーカーを一時点でしか測定しない場合には、酸化ストレスや炎症がテロメアに持続的に及ぼす影響のトータルがどれくらいになるかを正確に把握できない。

  • フライド・ポテトの摂取量が、①揚げ物全般の摂取量や②ことによると生活習慣の不健康さの指標となっているのかもしれない。

    ①に関して、フライド・ポテトの摂取量が多い人はフライド・ポテトに限らず揚げ物全般の摂取量が多く、揚げ物全般の摂取量が多いためにテロメアが短いのかもしれない。

    ②に関して、今回のデータにおいてフライド・ポテトの摂取量が多い人はBMI値が高かただけでなく、身体活動量が少なかったり果物をあまり食べなかったりタバコを吸うことが多かったりした。
  • ジャガイモを揚げるときに発生するトランス脂肪酸分解物やアクリルアミド(*)などの有害物質のせいでテロメアが短くなるのかもしれない。
    (*) ジャガイモ(馬鈴薯)や穀類といった糖質を、焼く・揚げるなど水分が少ない状態で加熱調理すると発生する。 アクリルアミドは発ガン性も疑われている。

関連研究

  • "American Journal of Clinical Nutirtion"(リンク先は英文) に 2008年に発表された研究では、フライド・ポテト摂取量とテロメアの長さの間に関係が見られませんでした。 この 2008年の研究では米国に住む45~84才の男女840人を対象に、今回の研究と同じような調査を行いました。
  • "American Journal of Clinical Nutirtion"(リンク先は過去記事)に 2017年に掲載された研究で、ジャガイモをフライド・ポテトにして食べることが多い人は死亡リスクが2倍ほど高いという結果になっています。 この研究では、米国に住む45~79才の男女 4,440人のジャガイモ摂取量をアンケート調査で調べたのち、8年間にわたり死亡状況を追跡調査しました。