果糖の摂取量が多いと外傷性脳損傷の回復が遅れる?

(2015年10月) "Journal of Cerebral Blood Flow and Metabolism" に掲載されたカリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究によると、外傷性脳損傷(*)の患者の果糖の摂取量が多いと脳の回復が遅れる可能性があります。
(*) 頭部に加わった物理的な衝撃のために脳が傷ついたり、 出血したりすること。 半身麻痺・感覚障害・記憶障害・失語症・注意障害などが生じることがある。 「外傷性脳損傷」の英語に当たる "Traumatic Brain Injury" の頭文字を取って「TBI」とも呼ばれる。
研究の方法
この研究ではネズミを用いた実験を行いました。 実験の手順は次のようなものでした:
  1. ネズミの一群に5日間にわたり迷路を通り抜ける練習をさせたのち2つのグループに分けて、一方のグループにのみ果糖を含有する水を6週間にわたり飲ませた。 もう一方のグループには普通の水を与えた。
    実験に用いられた果糖はトウモロコシ由来のもので、果糖の量は異性果糖が使われた飲食物の摂取量が多い人の果糖摂取量に相当する程度となるようにしました。
  2. 果糖を水に混入し始めてから1週間後に、ネズミに麻酔をかけてヒトの外傷性脳損傷と同じようなダメージを頭部に与えた。
  3. 頭部にダメージを与えてから6週間後、両グループのネズミに迷路を通り抜けさせる(記憶力を試す)テストを受けさせました。
結果

果糖を摂取したグループはもう一方のグループに比べて、迷路を通り抜けるのに要する時間が30%長くなっていました。

果糖がニューロンの活動を阻害
さらに、果糖を摂取したグループともう一方のグループとでは、外傷を受けた後の頭部における生物学的なプロセスが大きく異なっていました。 果糖によってニューロンの次のような能力が妨げられていたのです:
  • ニューロン同士のコミュニケーション
  • 外傷後の再接続
  • 記憶の記録
  • 基礎的な機能に必要なエネルギーの生産
研究者は次のように述べています:

「果糖によって脳の可塑性が乱される可能性があります。「可塑性」とは、新しい物事を学習したり経験したりしたときに脳細胞間に新しい経路が形成される(という能力の)ことです」

「可塑性が妨げられるのは誰にとっても有害ですが、外傷性脳損傷の患者においては特に問題となります。 外傷性脳損傷の患者では日常生活を遂行する方法を学習し直す必要に迫られるケースがかなりあるためです」