機能性ディスペプシアの器質的な原因

(2015年6月) "Psychotherapy and Psychosomatic" 誌に掲載されたルーヴェン大学の研究で機能性ディスペプシア(機能性消化不良)の器質的(*)な原因の調査が行われています。
(*) 医学の分野において「器質」は「機能」の対義語です。 機能性疾患とは身体には異常が見当たらないのに体の具合が悪いという病気のことなので、「機能性ディスペプシアの器質的な原因」と言うと「これまで身体的な原因が見当たらなかったディスペプシアにもやっぱり身体的な原因があった」という意味になります。
機能性ディスペプシアとは

機能性ディスペプシアとは、胃の痛みや胃もたれがあるのにこれといった原因が見当たらないという病気です。

機能性ディスペプシアは、気分障害や不安障害などの精神疾患や機能性ディスペプシア以外の機能性胃腸障害あるいは機能性身体症候群と同時に生じるケースが少なくありません。

研究の方法

この研究では、PET(陽電子放射形コンピューター断層撮影法)と呼ばれる技術を用いて、機能性ディスペプシアの患者12人と健常者12人とで脳に存在するカンナビノイド受容体(CB-1)を比較しました。 健常者の12人は機能性ディスペプシアの患者と年齢・性別・BMIが同等になるように選出されました。

機能性ディスペプシアの患者12人のうち9人については、2~4年ほど後に再度PET検査を行いました。

結果

機能性ディスペプシアの患者では、脳の領域のうち内臓の痛覚に関与する部分(脳幹・島・前帯状皮質)と食物摂取のホメオシス的(homeostatic)および快楽的(hedonic)な調節に関与している部分(視床下部と腹側線条体)においてCB1受容体の可用性が統計学的に有意に高くなっていました。 そして、数年後にも依然として高いままでした。

これらの脳領域における異常な活性は内在性カンナビノイド系の機能不全が継続しているのが原因かもしれません。