体内の過剰なグルコースを解毒する酵素を発見

(2016年1月) "Proceedings of the National Academy of Sciences" に掲載されたモントリオール大学の研究により、グルコース(ブドウ糖)の過剰が体の様々な器官におよぼす毒性を阻止する酵素が発見されました。出典: Too Much Sugar? There’s an Enzyme for That

G3PP
G3PP(グリセロール3-リン酸ホスファターゼ(*))と命名されたこの酵素は、グルコースおよび脂肪の利用の制御において中心的な役割を果たしており、細胞中に過剰に存在する糖を解毒する能力を持ちます。 G3PPのこの能力は、肥満や2型糖尿病の治療に利用できるかもしれません。
(*) 「ホスファターゼ」は別名「脱リン酸化酵素」。 G3PPとは「グリセロール3-リン酸というリン酸をリン酸でなくする酵素」という意味なのでしょう。
G3PPの働き

細胞でグルコースが使用されている最中にはグリセロール3-リン酸(G3P)が形成されます。 グルコースの量が異常に多いとG3Pも細胞内で過剰となって様々な組織が損傷することがあります。

G3PPは余分なG3Pの相当な部分をグリセロールへと分解して細胞外に排出する能力を持ちます。このG3PPの能力によって、β細胞(インスリンを生産する膵臓の細胞)やその他のさまざまな器官がグルコース過多による毒性から保護されます。

コメント
研究者は次のように述べています:
「β細胞に過剰なグルコースをグリセロールとして排除させるためのメカニズムを探していてG3PPを見つけました。 このメカニズムが肝臓の細胞でも作用していることがわかっています。 G3PPは全身のあらゆる組織に存在しています」
「G3PPは、グルコースをグリセロールとして逸らすことによって脂肪の形成および貯蔵が過剰となるのを防ぎます。 また、糖尿病においては肝臓におけるグルコースの過剰生産が問題となりますが、G3PPには肝臓におけるグルコースの過剰生産を緩和する作用もあります」
「1960年代以降、哺乳類の栄養代謝の核心となる部分において新しい酵素が発見されるのは稀有な出来事となっています。 今回発見された酵素は生化学の教科書に載ることになるでしょう」