物の見方がネガティブになってしまう遺伝子変異

(2013年10月) "Psychological Science" 誌に掲載されたブリティッシュ・コロンビア大学の研究によると、暗い気分になる原因が遺伝的な要因である場合があります。

感情が関与する出来事、特に悪い出来事を平均的な人よりも鮮明に受け止める原因となる遺伝子変異が、この研究によって特定されたのです。 今回の発見から、世界の見え方に遺伝子に起因する個人差があると思われます。

研究の内容
この研究では、200人の参加者にポジティブな言葉・ネガティブな言葉・中立的な(ポジティブでもネガティブでもない)言葉を立て続けに素早く見せるという実験を行いました。 その結果、特定の遺伝子が変異体である人は他の人よりもネガティブな言葉をよく認識する傾向が見られました。 ポジティブな言葉の認識率は遺伝子の変異に関わらず同程度でした。
スライドか何かで、1つ1つの言葉をしっかりと視認するのが困難なほどのペースで次から次へと新しい言葉を表示していったということでしょうか。 視認が大変な状況下でも、自分が強く反応する言葉であれば、きちんと認識できるということでしょうか。
遺伝子変異体
上述の「遺伝子変異体」というのは、ADRA2b deletion variant(*)のことで、この変異体は神経伝達物質でありホルモンでもあるノルアドレナリンという物質に影響を与えます。
(*) ADRA2b という遺伝子の 301~303番目のアミノ酸から、3つの連続するグルタミン酸残基が消えているという意味だと思います。

ADRA2b deletion variant はこれまでに、感情に関わる記憶の形成に関与していることが明らかにされていますが、今回の研究でこの遺伝子変異体がリアルタイムでの(感情の)認識にも関与していることが示されました。

研究者によると、ADRA2b deletion variant を持っている人は、例えば雑踏の中で怒った顔をした人に気付きやすかったり、野外では美しい風景に見とれるよりも滑りやすい地面や落ちそうな岩などの危険に気付きやすかったりします。
ネガティブな性質には慎重で危険の察知に長けているというポジティブな面もあると言うわけですね。