地球温暖化で2型糖尿病の患者数が増える理由とは?

(2017年3月) "BMJ Open Diabetes Research & Care" に掲載予定であるライデン大学の研究で糖尿病患者数の増加や気温の変化などのデータを調べたところ、地球の気温が1℃上昇すると2型糖尿病の患者数が 1,000人あたり0.31人増えるという推算結果になりました。
1億人あたり3万人。
理由は褐色脂肪

研究チームによると、地球温暖化で2型糖尿病が増えるのは気温の上昇により褐色脂肪の活性が低下するためかもしれません。

褐色脂肪とは

脂肪には白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞の2種類があります。 白色脂肪細胞がいわゆる普通の脂肪でカロリーを蓄えるのに対して、褐色脂肪細胞はカロリーを燃焼させて熱を作り出します。

褐色脂肪細胞が多いと運動をしなくても体脂肪が燃焼して減っていくので、肥満や糖尿病の予防に褐色脂肪細胞を利用できるのではないかと期待されています。

褐色脂肪細胞は成人にはほとんど存在しない(赤ちゃんには多い)のですが、低温にさらされることで白色脂肪細胞が褐色脂肪細胞のような性質を持つベージュ脂肪細胞(ブライト脂肪細胞とも呼ばれる)へと変化します。

そういうわけで、平均気温が上がって寒さにふるえる日が減ると、人類が太りやすく、そして2型糖尿病になりやすくなるのでしょう。

低温にさらされる以外にも、運動をしたり特定の栄養素(ビタミンA・オメガ3脂肪酸・カプサイシン・茶カテキン・カフェインなど)を摂ったりすることで褐色脂肪細胞を活性化させたり、白色脂肪細胞のベージュ化を促したりできる可能性があります。
糖尿病だけではない

地球温暖化が健康に及ぼす悪影響は肥満や糖尿病の増加だけではありません。 気温の上昇により熱中症・伝染病・食中毒・アレルギー性疾患が増加しますし、異常気象が引き起こす自然災害はPTSD(心的外傷後ストレス症候群)の原因にもなります。

地球温暖化は、栄養の可用性を介しても人類の健康に悪影響を及ぼします。 洪水などの自然災害による食糧不足が栄養失調の原因となるほか、地球環境の変化によって穀物の成分に変化が生じてタンパク質セレン(ミネラルの一種)の含有量が減るという話や、地球温暖化のために地球上で流通するオメガ3脂肪酸(DHAやEPA)の量が減少する(*)という話もあります。

(*) 魚などの動物性食品に含まれるオメガ3脂肪酸は海水や淡水に生育する藻類に由来するが、その藻類が地球温暖化に伴う水温の上昇に適応するためにオメガ3脂肪酸を消費してしまうので、動物性食品に含まれるオメガ3脂肪酸の量が減る。
対策

地球温暖化を阻止するために個人でできることはあまりなさそうですが、通勤手段を自家用車から自転車・徒歩・電車・バスに切り替えると良いでしょう。

自転車・徒歩・公共交通機関は自動車に比べて環境に優しいうえ、運動量が増えるので高血圧・糖尿病・肥満といった慢性疾患の予防に役立ちます。 通勤手段の改善が直接的にも、そして地球環境を介して間接的にも健康にプラスとなるというわけです。 一石二鳥です。