グリセミック指数はあてにならない

(2016年9月) 2015年に "Cell" 誌に掲載された研究で同じ食品を食べても血糖値の上がり方が人によって異なることが示されていますが、"American Journal of Clinical Nutrition" に掲載されたタフツ大学の研究によるとグリセミック指数(GI)には平均25%の個人差あり、それどころか同じ人が同じ食品を食べる場合にも食べるたびにGIの数値が平均で20%異なります。出典: Estimating the reliability of glycemic index values and potential sources of methodological and biological variability

研究の方法
健康な男女63人に食事・運動・飲酒を控えてもらった後に、白パン(*)やブドウ糖(†)を摂取してもらい、摂取後の5時間における血糖値の変化を測定して、ブドウ糖を摂取したときの血糖値を基準に白パンのGIを算出しました。

(*) 全粒小麦ではなく精白小麦で作られた、いわゆる普通のパン。 既存の基準ではGIが70以上の高GI食品に分類されている。

(†) 白パンもブドウ糖も、炭水化物の含有量は50g。
試験は12週間のうちに合計6回が別々の日に行われました。 6回のうち3回では白バンを食べた後の血糖値を測定し、残りの3回ではブドウ糖を摂った後の血糖値を測定しました。
研究者によると、63人という被験者数も、6回という試験回数も、5時間という血糖値測定時間も、この種の試験のデータとしては十分です。
結果

現在の分類では高GI食品に分類される白パンですが、試験で算出されたGIはバラバラで、低GIや中GIに分類されるようなGIも算出されました。

今回算出された白パンのGI平均値は中GI食品に相当する62でしたが、高GIのほうにも低GIのほうにも15ポイントずつ標準偏差しているために低中高GIのいずれにも分類される状況でした。

白パンは、被験者のうち22人では低GI食品(GIが35~55)、23人では中GI食品(57~67)、18人では高GI食品(70~103)に分類されました。 また、1人の被験者が3回白パンを食べたうちだけでもGIが60ポイント超も異なるということがありました。

GIのバラつきと性別・BMI・血圧・身体活動量などの要因との関係を調べたところ、大部分の要因はGIのバラつきにほとんど影響していませんでしたが、インスリン指数(*)とHbA1c(†)はGIのバラつきに影響しているようでした。 研究チームの計算によると、GIのバラつきの原因の15%がインスリン指数に、そして16%がHbA1cにあります。

(*) Wikipedia によると「インスリン指数(insulin index)」とは「摂取された食品が消化された後の2時間において血中のインスリン濃度がどの程度増加するかを示す数値」ということですが、インスリン指数は食品の側の数値であって被験者の個人差は関係ないはずなので、インスリン指数が白パンのGIのバラつきに寄与するというのは理解に苦しみます。 検索で調べても "insulin index" に他の意味は無いようです。

"insulin index" と似た言葉に "insulinogenic index(インスリン分泌指数)" というのがあるようですが、こちらのことなのでしょうか? インスリン分泌指数なら食品ではなく人間の側の数値なので個人差があるでしょう。

(†) 長期的な血糖コントロールの指標。
解説
今回の結果から、グリセミック指数を食品の栄養性分表示や食事ガイドラインに用いるのは不適当であると考えられます。 研究者は(グリセミック指数にこだわらずに)野菜・果物・全粒穀物・無脂肪/低脂肪の乳製品・魚・豆類・脂肪分の少ない肉などを食べることを推奨しています。