長期にわたる動物実験でGMトウモロコシの有害性を確認

この研究は、研究の手法やデータの分析に不備があったとして 2013年に撤回されてました(撤回声明文)が、その後 2014年に "Environmental Sciences Europe" 誌にて再発表されています。

この研究の復活に関して "The Conversation"において、「手直しされているものの基本的な問題が解消されていない」と述べられています。 The Conversation の筆者はGMOや農業関連の企業と資金的な繋がりが無いことを明言しています。

(2012年9月) "Food and Chemical Toxicology" 誌に掲載されたフランスの研究で、遺伝子組み換え(GM)食品でガンになるリスクが増加することが明らかになりました。

研究の方法

GMO の有害性を確認する目的でこれまでに行われた研究は短期間のものしかありませんでしたが、今回の研究では2年間に渡って動物実験を行いました。

実験では、遺伝子改良により Roundup という Monsanto社の農薬への耐性を持つ GM トウモロコシ(エサにおけるGMOトウモロコシの割合は11%~)や、Roundup を混ぜた飲み水(濃度は 0.1 ppb)をネズミに与えました。

オスとメスを100匹ずつ合計200匹を10のグループに分け、そのうちの1つを対照群として用いました。

3つのグループに、GM NK603 という Monsanto社の遺伝子組替えトウモロコシであって栽培に Roundup を使用したものを11%、22%、33% の比率で混ぜたエサを与えました。

さらに別の3つのグループには、栽培に Roundup を使用しなかった GM NK603 を同じく11%、22%、33%の比率で混ぜたエサを与えました。

そして、残りの3つのグループには、エサは通常の(GMトウモロコシでない)ものを与え、飲み水に Roundup を混ぜました。

飲み水への混入率はそれぞれ、1.1×10-8%(0.1 ppb。 グリホサート換算で 50 ng/L。 水道水が Roundup に汚染されたとき程度の濃度)、0.09%(400 mg/kg。 米国におけるGM飼料に含有されるグリホサートの許容残留最大濃度(?、MRL))、および0.5%(2.25 g/L。 農薬としての有効濃度の半分)というものでした。

結果

実験の結果、GM トウモロコシとラウンドアップの両方が、ホルモンおよび生殖関係の(hormone and sex dependent)慢性的な病変を誘発することが示されました。

対照群では、早死(平均生存期間以前の)による死亡率は、オスでは30%(三匹)、メスでは20%(二匹)でした。

一方、GMトウモロコシを与えられた(6つの)グループでの早死による死亡率は、オスでは最大50%、メスでは最大70%でした。 ただし、死亡率とGM混合率は比例しておらず、混合率が11%または22%のグループで閾値に達しました。 GMトウモロコシの栽培に Roundup が用いられた影響はありませんでした。

メスのネズミの死因は主に大きな乳腫瘍と脳下垂体(多くのホルモンを分泌する内分泌器官)の機能不全で、対照群に比べて死亡率が2~3倍でした。 メスのネズミでは、飲料水に混入された Roundup の影響が大きく見られました。

オスのネズミでも、肝臓の鬱血・壊死・重度の腎症・触って分かるほどに大きな腫瘍などの症状が出ました。 特に、GMトウモロコシのエサを与えられたグループで最初に死んだオス二匹は、体重の1/4にも達する巨大なウィルムス腎臓腫瘍(ソースに写真あり)が出来たため、安楽死させることになりました。

研究グループはこれらの症状がおそらく、遺伝子改造に起因する代謝異常と Ruoundup を原因とする内分泌の撹乱によるものではないかと考えています。

研究の欠陥
ただし、この研究は欠陥があるとして、Monsanto 社はもとより多くの第三者的な立場にある専門家からも批判を受けています:
  • ロンドン大学キングズ・カレッジの栄養科学の研究者は、この研究ではネズミに与えられたエサの量や、ネズミの成長率が不明であり、さらに、実験に使用されたネズミが、エサの量を制限しなければ乳癌にかかりやすい品種であると批判しています。 統計学的な観点からも怪しい研究だとも言っています。
  • オーストラリアの研究者は、GMトウモロコシとRoundupが、この研究結果が示すように有害であるなら、GM作物が導入されてから10年以上になるのだから、北米で人間がバタバタと死んでいるはずだと言っています。
  • ケンブリッジ大学の研究者も、この研究が手法的・統計的に標準以下の水準だと批判しています。
長期的な実験の必要性

GM作物の支持者は、これまでの研究でGM作物の安全性は完全に証明されていると主張していますが、GM作物が登場してから15年ほどしか経っていないため、GM作物による長期的な影響については限定的な情報しかありません。

この研究グループは 2009年にも同様の実験をしましたが、今回の実験では 2年間という長期間にわたって GM作物のネズミへの影響を調べました。

これまでのGM作物の研究では90日間の給餌実験しか行われておらず、GM作物の承認も、そのような短期の研究に基づいてなされています。 90日、つまり三ヶ月というのは、人間で言えば青年期でしかありません。 この研究に関与した英国の分子生物学者は、すべてのGM作物について、2年間というネズミの寿命での長期の調査を行うべきだと述べています。

フランス政府の対応

フランス政府は、専門家たちのこのような批判にも関わらず、この研究結果を受けてGM作物のEU圏からの排除に乗り出そうとしています。 フランスでは、GMOの栽培はすでに禁止されていますが、自国の機関にこの研究を評価させたのち、EU食料安全局(EFSA)に提出する予定です。

フランスの健康省、環境省、農業省は合同声明で「この研究結果に基づき、フランス政府はヨーロッパ各国の当局にヒトと動物の健康を守るために、場合によっては NK603 トウモロコシのEUへの輸入停止も含む、必要な手段を取ることを要請することになる」と述べています。

また、GM 作物嫌いで知られるフランスの政治家、Jose Bove 氏も、EU圏内でのGM作物の栽培と輸入を直ちに一時停止するように求めています。

米国での状況

遺伝子組み換え生物(GMO)は、ヨーロッパでは頑強に反対されていますが、米国では Monsanto 社が1996年に Roundup への耐性を持たせたGM大豆を導入して以来、主流となっています。

米国内でも、カリフォルニア州では遺伝子組み換え作物への反対が盛んであり、この研究の影響はありそうです。