ビタミンEやβカロテンの摂取量が多いと骨密度が低かった

(2019年6月) "Nutrinets" に掲載されたマッセー大学(ニュージーランド)による研究で、健康的っぽい食生活を送っている閉経後女性は骨密度が低いという結果になっています。

研究の方法

54~81才の女性101人を対象に、骨密度を検査したりアンケート調査で食生活を調べたりしました(横断調査)。

結果

個々の栄養素

カルシウム・タンパク質・リボフラビン(ビタミンB2)・ナイアシン(ビタミンB3)については、摂取量が多いと脊椎骨の骨密度が高いという結果でした。

相関関係の強さ(γ)は、カルシウムが0.294、タンパク質が0.246、リボフラビンが0.232、ナイアシンが0.256です。

「γ」は0.10あたりで「弱い相関関係」、0.30あたりで「そこそこの相関関係」、そして0.50超で「強い相関関係」とみなされます。

栄養素の組み合わせ

今回のデータでは栄養素の組み合わせ(nutrient pattern)が3つ特定されました。

そのうちの1つが「リボフラビンリンカルシウムの摂取量が多い」という組み合わせで、これに該当する場合には脊椎骨や大腿骨頸部の骨密度が高い(γは約0.197と0.213)という相関関係が見られました。

もう1つが「ビタミンEαトコフェロール(ビタミンEの一種)とβカロテンオメガ6脂肪酸(野菜油に豊富)の摂取量が多い」という健康的な感じの組み合わせで、これに該当する場合には股関節や転子(大腿骨の上部突起部)の骨密度が低い(γは-0.215と-0.251)という逆相関関係が見られました。

解説

脂質に関しては、1917年という随分と昔の研究ですでに脂質がカルシウムの吸収を阻害する可能性が示されています。 これまでの研究で、一価不飽和脂肪酸や多価不飽和脂肪酸(オメガ6脂肪酸もこの1種)の摂取量が多いと骨密度が低いことが示されてもいます。 高脂肪の食事による高インスリン血症によりカルシウムとマグネシウムのバランスが崩れるのも、脂質で骨密度が低下する一因かもしれません。

ビタミンEに関しては、これまでの動物実験や観察実験で色々な(有益・有害・中立)結果になっており、研究グループは「なんとも言えない」と述べています。 今回の研究論文ではビタミンEが骨密度に影響しうる理由についてほとんど触れていません。「ビタミンEが破骨細胞融合を誘導して骨量をうんたらかんたら(...studies have reported the role of serum vitamin E and alpha-tocopherol in bone mass through the induction of osteoclast fusion...)」とだけ述べられています。

あと、研究グループはタンパク質の取り過ぎに警告を発しています。 今回の研究ではタンパク質の摂取量が多いと骨密度が高いという結果になりましたが、それはあくまでも今回調査対象となった女性たちの中で摂取量が「比較的」多いというだけのことです。 タンパク質やリンが過剰な食事は低度の慢性的な代謝性アシドーシス(血液の酸性度が高くなり過ぎた状態)を招きかねません。

低度の慢性的な代謝性アシドーシスが生じるとどうなるのか? 今回の研究論文に参考文献として挙げられている 2017年のレビューによると、慢性的な代謝性アシドーシスが生じると代謝のバランスが乱れて、腎結石・骨吸収・骨密度低下・筋肉量減少のリスクや2型糖尿病や高血圧などの慢性疾患のリスクが増加する恐れがあります。