喫煙習慣はテロメアが短くなる原因ではなかった?

(2019年6月) 英国の研究グループが "Open Science" 誌に発表したメタ分析で、喫煙習慣によりテロメアが短くならないらしいという意外な結果となりました。

研究の方法

喫煙習慣の有無とテロメアの長さの関係を調べた18のコホート研究のデータを分析しました。 データに含まれる人数は 12,579人(喫煙者 4,678人、非喫煙者 7,901人)で、追跡期間は平均8.6年間でした。

結果

横断的な(追跡開始の時点など一時点での)分析では、喫煙者は非喫煙者に比べてテロメアが84.61bp(塩基対)短いという結果でした。

しかし、(追跡データを分析すると)テロメア短縮ペースにおいて喫煙者は非喫煙者に比べて0.51bp/年しか速くない(しかも 95% CI: −2.09 to 1.08 とプラス/マイナスの境目をまたいでいるので統計学的に有意ではない)という結果でした。

加齢によりテロメアの短縮ペースが1年間あたり38.33bpだったので、その1.32%でしかないというわけです。

横断的な分析で見られた84.61bpというテロメア長の差を0.51bp/年というテロメア短縮ペースの差で実現するには167年もかかります。

結論

横断的な分析で喫煙者/非喫煙者間に見られたテロメア長の差は、それまでの喫煙習慣により生じたものではないと考えられます。

したがって、「喫煙でテロメアが短くなるのではなくテロメアが短い人が喫煙習慣に染まりやすい」ということなのかもしれませんが、研究グループは「子供の頃に苦境(虐待や家族の問題など)にさらされた」などの第三者的な要因が喫煙習慣とテロメアの短さの両方を引き起こしている可能性が高いと考えているようです。 子供の頃にひどく辛い境遇にあったためにテロメアが短くなったしタバコを吸い始めるようにもなったのではないか、というわけです。

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今回の研究グループは利害関係を伴う(タバコ・メーカーとかからの)資金提供を受けていないことを宣言しています。