気持ちの悪いタバコのパッケージは喫煙者に反発心を抱かせる

(2016年2月) "Communication Research" 誌に掲載されたイリノイ大学の研究によると、気持ちの悪いタバコのパッケージ(*)は喫煙者に反発心を抱かせるだけで効果が無いかもしれません。出典: Graphic Images May Not Scare Smokers Off Cigarettes, Says Study
(*) タバコにより病んだ肺や口・肺ガンで死にかけている人・心臓疾患や脳卒中に苦しむ人・死体などの写真を用いるタバコのパッケージ。
研究の方法

18~25才(平均年齢20才)の大学生435人を2つのグループに分けて、一方のグループにはパッケージに文章だけが印刷されたタバコを、そしてもう一方のグループにはパッケージに気持ちの悪い写真が用いられたタバコを渡して、アンケート調査を実施しました。

アンケート調査では、パッケージに対して抱いた気持ちと各人の性格を調べました。 435人のうち17.5%が喫煙者(過去一ヶ月以内に喫煙した)、60%超が女性、62%が白人でした。

結果

喫煙者も非喫煙者も、気持ちの悪いタバコのパッケージを好みませんでした。 そして気持ちの悪いタバコのパッケージは、みずからの自由・選択・自律性を脅かすものとして受け止められました。 気持ちの悪いタバコのパッケージへの反発は、心理的リアクタンスが強い被験者において最も強くなっていました。

研究者は次のように述べています:
「気持ちの悪いタバコのパッケージは喫煙者に 『自分が操作されている』 という気持ちを抱かせて怒らせます。 そして、そのようなパッケージを作り出した張本人(政府)が過度に干渉していると考えます」
解説
心理的リアクタンス

他人に自分の行動を指示されていると感じた時に拒否感をどれだけ抱きやすいという性質。 いわゆる反骨気質。 こういう性質の人は、自分の自由が脅かされていると感じると指示と逆の行動を取ることがありますが、喫煙者にはこういう性質の人が一般よりもわずかに多いことが知られています。

気持ちの悪いタバコのパッケージの効果は不透明

世界各国で類似研究が多数行われており、これらの研究では気持ちの悪いタバコのパッケージにより喫煙率が低下するという結果になっていますが、多くのケースでは気持ちの悪いタバコのパッケージの導入と同時にタバコ税増税や喫煙禁止条例なども導入されており、そのようなケースでは喫煙率の低下が一概に気持ちの悪いタバコのパッケージによるものだとは言えません。

また、気持ちの悪いタバコのパッケージが導入されている諸国のうちの一部において、喫煙者はタバコを買ってすぐに気持ちの悪い写真が見えないようにパッケージにカバーをかけてしまいます。 こうすることによって喫煙者たちは、気持ちの悪い写真を無効化して自律性を回復しタバコを存分に楽しみます。