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緑茶で高齢者の認知機能は改善されないが...

(2016年5月) "Nutrition Journal" に掲載された静岡県立大学の研究で、高齢者が緑茶粉末を飲み続けても認知機能(記憶力や思考力)は改善されないけれども、酸化ストレスが減少するという結果になりました。出典: Effects of green tea consumption on cognitive dysfunction in an elderly population

予備知識
酸化ストレスについて

酸化ストレスとは活性酸素種(ROS)と抗酸化物質のバランスが崩れた状態のことで、細胞が有害な環境にさらされたときに作られます。 酸化ストレスは糖尿病・高血圧・ガンのなどのリスク要因であるほか、認知症の発症・進行にも関与していると考えられています。

複数の研究で、緑茶や緑茶カテキンに酸化ストレスに対抗する作用のあることが示されています。

緑茶と認知機能

複数の研究で緑茶に認知機能を改善する効果が示されていますが、世間で一般的に飲まれる程度の量の緑茶を飲んだときの効果についてはよくわかっていません。

研究の方法

介護施設で暮らす高齢者33人を被験者とする二重盲検試験を行って、緑茶の摂取により認知機能が改善されるかどうかを調べました。

試験では、被験者を2つのグループに分けて1年間にわたり、一方のグループ(17人)には緑茶粉末(*)を、そしてもう一方のグループ(16人)にはプラシーボを飲んでもらいました。 MMSE-J(†)を用いたテスト・血圧測定・血液検査は3ヶ月ごとに行いました。

(*) 毎日2g。 2gという緑茶粉末の量は、緑茶を2~4杯飲むのに相当する。 緑茶粉末2gに含まれるカテキンの量は220mg。

(†) ミニ・メンタルステート検査日本語版(Mini-Mental State Examination Japanese version)
被験者の概要
  • 平均年齢84.8才。
  • 33人のうち女性が29人で、男性が4人。
  • 試験終了まで参加したのは27人。
  • MMSE-Jの平均スコアは15.8/30点(28点未満で認知機能不全)。
  • 33人のうち17人がアルツハイマー病(8人がプラシーボグループ、9人が緑茶グループ)。
  • 33人のうち15人が血管性認知症(8人がプラシーボグループ、7人が緑茶グループ)。
  • 緑茶グループのうちの1人がレビー小体型認知症。
足し算をすると、被験者全員がなんらかのタイプの認知症だったということになります。
結果

試験開始から1年後、両グループでMMSE-Jのスコアに統計学的に有意な差は見られませんでしたが、酸化ストレスの指標であるマロンジアルデヒド修飾LDL(MDA-LDL)の血中濃度は緑茶グループの方が低くなっていました。

試験期間中に被験者が新たに何らかの治療を開始したり薬やサプリメントを服用し始めたりすることはなかったので、緑茶グループに見られた酸化ストレスの低下は緑茶によるものだと思われます。

留意点
被験者はいずれも普段から緑茶を毎日1杯(カテキンにして50~100mg)以上飲んでおり、当然のことながら試験期間中にも緑茶の飲用は禁止されませんでした。 したがって、実際には「緑茶の飲用に加えて緑茶粉末を服用するグループ」と「緑茶の飲用に加えてプラシーボを服用するグループ」という対比でした。