緑茶に期待される美容と健康への効果(レビュー)

(2019年3月) チュラーロンコーン大学(タイ)の研究グループが茶の健康効果についてまとめたレビューを "Nutrients" 誌に発表しています。

レビューの要旨

  1. 茶の成分はポリフェノール・カフェイン・ミネラル・微量のビタミン・アミノ酸・炭水化物である。 茶の各種成分の含有量は茶の種類(発酵プロセスの違い)により異なる。 緑茶は他のタイプの茶よりも抗酸化物質が豊富である。
  2. 緑茶が含有する植物性化学物質は、ヒトの中央神経系を活性化し全般的な健康の維持に有益となる。
  3. 皮膚の老化(スキン・エイジング)には、細胞老化などの内的要因のほか紫外線への慢性的な暴露のような外的要因も関わっている。 紫外線は皮膚に直接的にダメージを及ぼすほか、人体における活性酸素種(ROS)や活性窒素種(RNS)の生産量を増やして間接的にもダメージを及ぼす。 緑茶が含有する植物性化学物質には強力な抗酸化効果があるので、こうしたROSやRNSの作用を打ち消して光老化(紫外線による皮膚の老化)の悪影響を軽減してくれるかもしれない。
  4. 複数の生体実験や生体外実験で、緑茶にシワを抑制する効果のあることが示されている。 緑茶のこの効果は、コラーゲン繊維とエラスチン繊維(いずれも光老化において劣化する)が増えたり、コラーゲンを分解する「MMP-3」という酵素の皮膚中の生産量を減ったりすることによる。
  5. 緑茶により光老化が抑制されるメカニズムは厳密には分かっていない。
  6. 線虫を用いた実験では、緑茶がDAF-16経路を介して寿命を延ばす効果を発揮することが示されている。
  7. 茶が含有するポリフェノールが様々な抗酸化酵素の発現を誘導して酸化によるDNA損傷を防ぎ得ることが知られている。
  8. アルツハイマー病などの神経変性疾患の抑制に緑茶を使えるのではないかとする研究結果も増えつつある。 茶に豊富に含まれるカテキンの一種にEGCGがあるが、このEGCGにアミロイドβ(アルツハイマー病患者の脳に蓄積がみられる)がもたらす神経毒性を抑制する効果のあることが示されている。
  9. 緑茶ポリフェノールはオートファジーを誘導しもする。 そのため緑茶ポリフェノールを摂取した生物(ヒトとは言っていない)は健康状態が全面的に賦活化される。
  10. ヒトにおいても下等生物と同様に緑茶の効果が発揮されるかを今後の研究で確認する必要がある。 緑茶の理想的な飲用量を突き止める必要もある。
  11. 緑茶の過度の使用は有害となりかねない。 例えば、自己酸化によるROSの発生でDNA損傷が生じやすくなる恐れがある。 また、茶エキスの過剰摂取により肝毒性が生じたという報告もある。