緑が豊かな地域に住んでいる高齢者は精神的なストレスが少ない

(2018年4月) "Environmental Health" 誌に掲載されたシンガポール国立大学などの研究で、植物の緑が多い地域に住んでいる高齢者は精神的なストレスが少ないという結果になっています。
Vivian C. Pun, et al. "Association of neighborhood greenness with self-perceived stress, depression and anxiety symptoms in older U.S adults"

研究の方法

米国各地に住む57~85才(平均70才)の高齢者4千人超のデータを用いて、居住地域の緑の豊かさと精神的ストレス・鬱症状・不安の各症状との関係を調べました。

居住地域の緑の豊かさは人工衛星のデータ(250m単位)から推定しました。 緑の豊かさを示すNDVI(Normalized Difference Vegetation Index)の値が取る範囲は-1.0~+1.0で、値が大きいほど緑が豊かです。

ストレス・鬱症状・不安の各症状はアンケートで調べました。 スコアの範囲は精神的ストレスが0~16(平均スコアは約2.5)、不安感が0~21(平均スコアは約4.2)、抑鬱が0~33(平均スコアは約5.3)で、いずれもスコアが高いほど症状が強いということになります。

結果

直近の(調査時期近辺の)NDVI値が0.25ポイント増えるごとに(居住地域の緑が豊かであるほどに)前週に感じた精神的ストレスのスコアの平均値が、基本的な分析で(*)0.24、気温の変化(3日間の平均)やPM2.5の変化(60ヶ月間の平均)まで考慮した分析では0.16下がっていました。

直近のNDVI値の代わりに夏季に限定したNDVI値やNDVI値の年間平均を用いて分析しても、NDVI値が高いほど精神的ストレスが少ないという結果でした。
(*) 年齢・性別・アンケートを実施した年と季節・地域を考慮した。

不安感抑鬱に関しては基本的な分析でのみ、NDVI値が高いほどスコアが低い(-0.18と-0.29)という関係が見られました。

住んでいる地域の緑が豊かだと精神的なストレスが少ないという関係の一部は、緑が豊かだと身体活動量が多いことによると思われます。