セリアック病の発症リスクはグルテンを与え始める時期に影響されない①

(2014年10月) "New England Journal of Medicine" に掲載された Massachusetts General Hospital の研究によると、セリアック病を予防するのにグルテンを含有する食品を与え始める時期を遅らせてもほとんど効果はありません。

過去の複数の研究では、セリアック病になるリスクが高い子供には生後4~7ヶ月の時期にグルテン含有食品を与え始めると良さそうだという結果になっていました。 参考記事: 生後1年間の食事がセリアック病になるリスクに影響する?

今回の研究によると、セリアック病を発病する一番のリスク要因は遺伝子なので、グルテン含有食品を与え始める時期を気にしても意味はありません。

今回の研究はさらに、子供を母乳で育ててもセリアック病のリスクが下がらないという結果にもなりました。

研究の内容
この研究では、第一度近親者にセリアック病の人がいるためにセリアック病になるリスクが高いと考えられるイタリアの乳児700人を2つのグループに分けて、一方のグループには生後6ヶ月の時点で、そしてもう一方のグループには生後12ヶ月の時点で、それぞれグルテン含有食品を与え始めるという試験を行いました。

子供の食事に含まれるグルテンの量、腸の感染症の有無、母乳で育てていたかどうか、およびその他セリアック病に関係のありそうな事項について母親に情報を提供してもらい、5年間以上にわたって追跡調査を行いました。 追跡期間中には、グルテンが関与する自己免疫の兆候の有無を定期的に検査し、兆候が検知されたら腸の生検をおこなってセリアック病を発症しているかどうかを確認しました。

その結果、追跡期間最初の2年間に限っては、生後6ヶ月の時点でグルテン含有食品を食べ始めたグループの方がセリアック病の兆候が多かったのですが、追跡調査開始から5年目になる頃には両グルーの差はほとんど無くなっていました。

最終的には、生後6ヶ月でグルテン含有食品を食べ始めたのグループでは64人がセリアック病になったのに対して、生後12ヶ月の時点で食べ始めたグループでセリアック病になったのは53人でした。 両グループの差は、統計的に有意であると言えるほどではありません。

今回の研究では、セリアック病のリスクに影響していたのは遺伝的な要因だけでした。

ただし研究者は、血液検査によりセリアック病のリスクが高いことがわかっている子供にグルテン含有食品を与え始める時期を遅らせるのは、セリアック病が脳などの臓器の発達に及ぼす悪影響を軽減するうえで有効であると述べています。 セリアック病の子供の80%が3才までに発病します。