腸内細菌の作る物質も慢性腎疾患がもたらす健康問題の一因

(2016年5月) "Journal of the American Society of Nephrology" に掲載予定の研究によると、通常であれば尿により体外に排出される腸内細菌の代謝物(腸内細菌が作り出す物質)が、慢性腎疾患(CKD)の患者では体内に蓄積して健康上の深刻な問題を引き起こすことがあります。

CKD患者で早死にや心血管疾患(心臓病や脳卒中)のリスクが増加する理由の1つは、本来なら排泄されるべき物質が体内に蓄積することにあると思われますが、腸内細菌の代謝物はこのリスク増加への関与が特に強く疑われます。 腸内細菌の代謝物が、そのような物質の中でも毒性が強いうえ、体外への排出を腎臓に依存しているためです。

研究の方法

今回の研究では、CKD患者488人を平均3.5年間にわたって追跡調査して、腸内細菌の代謝物の1つであるフェニルアセチルグルタミン(PAG)と呼ばれる物質と心血管疾患との関係を調べました。

結果
CKDが進行している患者はPAGの血中濃度が高く、PAGの血中濃度が高い患者は追跡期間中に心血管疾患になったり死亡したりするリスクが高くなっていました。
Wikipediaによると、フェニルアセチルグルタミンはフェニルアラニンが代謝されフェニル酢酸となり、これがグルタミンとアミド結合した物質です。