食後の腸内細菌は宿主に「満腹」のシグナルを出す

(2015年11月) "Cell Metabolism" 誌に掲載されたフランスの研究で、食事をすると腸内細菌が宿主の食欲を抑える作用を持つタンパク質を生産することが明らかになりました。 このことから、腸内細菌が宿主の食欲の調節に関与していると思われます。

研究の概要
大腸菌の実験

腸から採取した大腸菌に栄養を与えるという実験を行ったところ、栄養を摂取し増殖してから20分が経つと大腸菌が生産するタンパク質の種類が変化しました。 この20分という時間は、人が食事をしてから満腹感を感じるまでの時間と同じです。

齧歯類の実験

次に、大腸菌がエサを与えられた後に放出するようになったタンパク質(複数の種類がある)を空腹または満腹の齧歯類(マウスとラット)に少量投与してみると、満腹・空腹いずれの齧歯類でも食事量が減りました。

満腹感のホルモンに作用

この研究では、満腹時に大腸菌が生産する「満腹時のタンパク質」が、PYYと呼ばれ満腹感を感じさせるホルモンの放出を促進することも明らかになりました。一方「空腹時のタンパク質」にはこの作用がありませんでした。

GLP-1というインスリン放出を促進するホルモンに関しては、この関係が反対に(*)なっていました。
(*) GLP-1は「空腹時のタンパク質」により放出が促進されたということでしょうけれど、「食物繊維から作り出されるプロピオン酸塩が食欲抑制に有効かも」によると、GLP-1にもPYYと同じく食欲を抑制する作用があります。
ニューロンにも作用
研究チームはさらに、大腸菌が満腹時に生産するタンパク質のうちの1つであるClpBという物質により食欲を減らすニューロンの発火が増加することを確認しました。 大腸菌が生産する他のタンパク質や他の腸内細菌が生産するタンパク質の作用は未だ不明です。